海馬のはなし(3)

 海馬の近くには、扁桃体と側座核があります。その話です。

 私は『勉強と言うものは、頭でなく身体(を使って)でやるものだ。』と考えています。そのことに関する記述がありました。
【16歳ぐらいまでの若いグループは、見て覚えようが、描いて覚えようが結果はほとんど変わらない。ところが、大人は描いて覚えると、飛躍的に成績が良くなる。
「手を実際に動かしてみることで、自分の経験になるのです。】
 もう一つ、『勉強のコツは、好きになること』と考えています。この本の著者はこう述べています。
【感情をつかさどる扁桃体は、海馬の隣りに位置する。
 扁桃体が機能しなくなった人は、親に会っても親しみの感情が生まれない。
「あなたは親にそっくりだけど、親じゃない」と言い張る症例が報告されている。
サルの扁桃体を壊してしまう実験をすると、サルは犬にもヘビにも平気で近づく。恐怖心がなくなるから。
 海馬と扁桃体と海馬は密接に連絡を取っている。好きなものを判断するのが扁桃体です。好きなものを覚えやすいというのは「扁桃体を活性化すると海馬も活性化する」と、説明できます。
 海馬が扁桃体の感情を参照しながら情報を取捨選択していきます。】

【「やる気」を生み出す脳の場所があります。側座核と言って、脳のほぼ真ん中に左右一つずつある。
側座核は、海馬と前頭葉に信号を送り、アセチルコリンという神経伝達物質を送っています。この物質がやる気を起こします。アルツハイマー病の患者さんはこのアセチルコロンがすごく減ってしまう。
 アセチルコリンって言うのは頭の中では「やる気」をつくる物質なんだけれども、腸の働きを活発にする物質でもある。だから、アセチルコリンを抑える「下痢止め」は、腸の働きを抑えると同時に頭にも効いちゃう(「やる気」を抑える)。風邪を引いた時に飲む風邪薬を飲むと眠くなるのも、アセチルコリンの働きが抑えられるからなのです。
 今はアセチルコリン成分に入っていない風邪薬もあるので、薬局で「脳のアセチルコリンを抑えない薬をください」と言えば親切に教えてくれる。
 因みに、アセチルコリンの働きを抑えてしまうのは、有名なものでいうと、ジフェンヒドラミンやスポコラミンです。興味があったら薬の箱の裏の成分表示で確かめてください。】
 脳研究の先端では、吃驚するような事柄が解明されつつあります。

 最後に、糸井さんがこう述べて、この本を締めくくっていました。
【インタネット(に記載する文章)は、「やりかけに見えるけれどもここまでは考えた」という軌跡は全部残る。「わからないことはわからないときちんと言って、あとは誰かが続きを考えてくれる」というインタネットの使い方は、おおげさに言えば人類のためになる。】
 小生の、インタネットに公開している文章は、まったくこの考えによるものです。(終り)