2010-01-01から1年間の記事一覧

今年印象に残った10冊

今年、印象に残った10冊です。 どんな本だったか、参考までに、小生のブログのサイトを付けています。「脳は何かと面白い」池谷裕二 新潮文庫http://d.hatena.ne.jp/snozue/20100625「司馬遼太郎が書いたこと 書けなかったこと」小林達雄、小学館文庫司馬…

良い財政赤字 悪い財政赤字 少し古い本ですが、『良い財政赤字 悪い財政赤字』(リチャード・クー著、01年1月刊、PHP)を読みました。財政赤字がますます問題になっている昨今、参考になりました。

著者クーさんの「バランスシート不況論」は有名ですが、ご存知ない方のため簡単に説明すると、「バブルの破綻によって、個人も企業も資産価値が激減すると、それぞれのバランスシートが毀損して、個人も企業もバランス上、負債の縮小に勤めるようになる。負…

司馬遼太郎が書いたこと・・・

『司馬遼太郎が書いたこと、書けなかったこと』(小林達雄著、小学館文庫、10年9月)という本を書店で見つけ衝動買いしてきました。 著者は1952年生まれの脚本家。「もう頬づえはつかない」、「ホワイト・ラブ」などの映画作品があるそうです。詠んでみてと…

金子勝の仕事道!』

先日図書館で、「天木直人」で検索したら、『金子勝の仕事道!』という本が出てきました。金子勝って慶応の経済学の教授でしょう。天木直人とどう関係するの?書棚へ行き、手に取ってみたら、金子教授の対談集(「週刊金曜日」連載をまとめたもの)で、その…

親鸞

「親鸞」の小説がしばらく前に話題になりました。来年1月から続編が新聞連載されるそうです。しかし、正直に言えば「悪人尚もて往生す」という親鸞の思想は、よくわかりません。どういう時代背景から出てきたのか?いったい法然の思想と親鸞の思想はどう違う…

魚は頭から腐る

塩野七生さんの『日本人へ 国家と歴史扁』(文春新書、10年6月刊)という本を読みました。雑誌『文芸春秋』に連載されたエッセイを纏めたものですが、扉にあった次の言葉に惹かれたからです。『亡国の悲劇とは、人材が欠乏するから起こるのではなく、人材は…

運動神経の科学

『運動神経の科学』という面白い題名の本を大学図書館で見つけました。著者は、小林寛道氏(日本陸上競技連盟医科学委員会委員長)、講談社現代新書で、2004年9月刊です。 著者は、95年、スプリントトレーニングマシーンという機械を開発した。この機械で練…

さらば外務省!

天木直人さん、面白い人だ、著書を読んでみようと、図書館で検索したら『さらば外務省!』(講談社、03年10月刊)が見つかりました。 早速読んでみたのですが、次から次へと外務省高級官僚の堕落振りが紹介されていました。 外務省のスキャンダルといえ…

通貨で読み解く世界経済

03年から04年にかけて、日本政府は約35兆円にも及ぶ(政府の年間税収入の7割〜8割)空前の為替介入、円売りドル買いを行った。これをどう評価するか。 『通貨で読み解く世界経済』(小林・中林著、中公新書、10年7月刊)によると、 【あえて日本で日…

基地問題は外交問題

日米安保の正体」からのさわり「日米関係と北方領土問題」。(「日ソ関係と北方領土問題」のタイプミスではありません。) そもそもの始まりは、ヤルタ協定、「千島列島はソ連邦に引き渡されるべし」と定めた。1951年対日平和条約において、日本に千島列…

日米同盟の正体

『日米同盟の正体』(講談社現代新書、09年3月刊行)という本を読みました。鳩山前首相が普天間問題で辞任してから、日米安保がどうなっているかが気になって参考書を探したら、この本が見つかったのです。 著者の孫崎 享(まごさき うける、1943〜)は、…

経済学は死んだのか

*[経済学ノート]『経済学は死んだのか』(奥村宏著、10年4月刊、平凡社新書)は面白い本でした。『浜田(宏一、エール大学教授)が「一生のうちで最も有益だった研究上の助言」を受けたのはエール大学留学中のジェームス・トービンからのものであったとい…

消費税のカラクリ

「議論、消費税にとどめるな」と題する記事が3日の朝日朝刊に載っていました。安井編集委員の寄稿ですが、面白い指摘を紹介します。 『21年前消費税の導入にあたり、政府が繰り返し訴えたのは、「直間比率の是正」。所得税や法人税など直接税中心の税制か…

ユニクロ型デフレと国家破産

『ユニクロ型デフレと国家破産』(浜矩子著、2010年6月刊文春新書)は面白い本でした。 少し長くなって恐縮ですが、以下に紹介します。 「失われた10年」あるいは「20年」と言われる近年の日本経済不調の時代、私が疑問に思っているのは、この間の日本の経済…

脳はなにかと面白い

気鋭の脳科学者池谷裕二さんの新刊がでました。『脳は何かと言い訳する』(新潮文庫)です。同書から面白い話を紹介しましょう。体と脳の関係 理学療法の先生方と話をする機会がありました。リハビリをすると、若い人と年配の方では、若い人の方が早く買い回…

ぼんやりの時間

『ぼんやりの時間』(辰濃和夫著、岩波新書、‘10年3月刊)を読みました。 著者は、1930年生まれで、朝日新聞入社、1975〜88年「天声人語」を担当した方。 読み終えての感想は「天声人語の新書版、人間が人間らしくあるためには閑がなくてはならない」…

「分かち合い」の経済学

“「分かち合い」の経済学”(神野直彦著、10年4月刊岩波新書)を読みました。 まず、「あとがき」の一節を紹介します。 【若き頃、私の勤務していた自動車会社の教育施設が、鎌倉の由比ガ浜にあった。私は人事の担当者として管理者教育のために、よくそこ…

検察が危ない

『検察が危ない』(郷原信郎著、10年4月刊、ベスト新書)を読んでみました。 著者の履歴をみると、「1955年島根県生まれ、東大理学部卒、1983年検事任官。2006年弁護士登録。現在名城大学教授、総務省顧問・コンプライアンス室長・・・」とあ…

女は男の指を見る

『女は男の指を見る』(竹内久美子著、10年4月刊、新潮新書)を読みました。 23日の朝日の書評にも載っていましたね。 【女性は男性を見る時、顔や胸板などより指に注目しているという。身体の「末端」は共通の遺伝子からつくられており、腕の先(指)…

世界を知る力(2)

【アジヤはどうか。たとえば、東アジヤにおける域内貿易比率をみると、20年前には3割程度だったのが、10年前には4割に、そして現在は5割に達しようという現実がある。かつて市場の最終目的地をアメリカに定めていたアジヤ経済が、いまや相互に活発な…

『利休にたずねよ』

『利休にたずねよ』(山本兼一著、08年11月PHP刊)を読みました。 この本、第140回直木賞受賞で、半年ほど前、読みたいと思い東図書館で予約したら「現在180人あまり予約者がいます」ということでした。 先日、「ご予約の本が用意できました」と、…

世界を知る力

以下は寺島実郎さんの『世界を知る力』(10年1月刊、PHP新書)の要旨紹介です。21世紀の日本を展望して、こう述べています。 【日本には、いまでも、世界レベルのシンクタンクと通信社がない。・・・時事通信、共同通信が世界に派遣している特派員の数…

続・変わる世界、立ち遅れる日本

【09年夏に(世界の)景気が回復すると、・・・景気後退から真っ先に抜け出した富める国は、製造業大国である日本とドイツ、それにフランスだった。これらの国は、アメリカより3ヶ月、イギリスより6ヶ月も早く回復したのである。 しかし、(今後、日本が…

変わる世界、立ち遅れる日本

岩波新書と講談社新書を2冊ずつ読んだので、今度はPHP新書を2冊購入して読みました。『世界を知る力』(寺島実郎著、10年1月刊)と『変わる世界、立ち遅れる日本』(ビル・エモット著、10年3月刊)です。 寺島さん(1947年生まれ)は、多摩大学…

『孫の力』

『孫の力』という中公新書の1月の新刊を読みました。著者の島泰三さんは「サル学者」。 【ジイジはサル学者。野生のサルを1日12時間追跡する生活を、3年続けたこともある。そのねばり強さで、孫娘の誕生から6歳までの成長を観察した記録が本書だ。「ヒ…

走る意味

『走る意味』(金哲彦著、10年2月刊、講談社現代新書)。読みました。この本を読もうと考えたのは、「走る意味」と副題の「命を救うランニング」という言葉に惹かれたからです。 著者は、TVのマラソン解説などに良く登場しますから、ご存知の方も多いと思…

日本は農業大国

『日本は世界5位の農業大国』(淺川芳裕著、10年2月刊、講談社+α新書)が面白い。長くなりますが、面白い個所を紹介します。 ネギの生産量が世界1の国はどこ? 答えは日本です。 国内の農業生産額はおよそ8兆円。これは世界5位。先進国に限れば米国に…

『不良債権と金融危機』(池尾和人編、慶応義塾大学出版会、09年12月刊)。

編者は序章でこう述べています。 「米国発の金融危機に際して、わが国の経験を米国はじめ世界に伝えるべきだという主張がなされた。しかし、経験を他者に伝えるためには、自らがその経験を教訓化できていなくてはならない。そうした教訓化の必要性を自覚して…

『パンデミックとたたかう』

3冊目は、『パンデミックとたたかう』(押谷仁、瀬名秀明共著、岩波新書)。 著者の押谷さんは東北大学医学部教授、瀬名さんは作家、小説「パラサイト・イヴ」で知られています。「パンデミック」とは、伝染病の世界的流行の意味です。 以下、この本から学…

『グリーン資本主義』

2冊目は、『グリーン資本主義』(佐和隆光著、岩波新書)。 著者の主張で面白い点を抜書きしてみましょう。 【民主党の歴史的圧勝(=自民党の大敗)の原因を私は次のように見る。 第一に、日本の政界に世襲制が制度化し、とりわけ自民党には、二世代議士が…