金子勝の仕事道!』

先日図書館で、「天木直人」で検索したら、『金子勝の仕事道!』という本が出てきました。金子勝って慶応の経済学の教授でしょう。天木直人とどう関係するの?

書棚へ行き、手に取ってみたら、金子教授の対談集(「週刊金曜日」連載をまとめたもの)で、その中に天木直人さんとの対談が載っていました。岩波の出版で06年9月刊行。岩波の本なら読んでみてもいいか、と借りてきました。

なんと演歌歌手の門倉有希が登場する。金子教授のつけた解説では

『「今度、門倉有希にインタヴューしてみたいんだけど」と「鮨金」の親方に聞いたら、「いいねえ」という答えが返ってきた。NHKのBSで彼女がちあきなおみの歌を歌ったのを聴いたときは、「ちあきなおみより、ずっとうまいと思ったねえ」という。私も門倉有希の歌はラジオでちらっと聴いただけなので、親方が言うなら、本格的に聴いてみようとCDをいくつか注文してみた。たしかに歌唱力は群を抜いている。勿論ヒット曲の「ノラ」はいい。・・・かつて朱里エイコが歌った「北国行きで」は彼女のハスキーボイスがよく生きている。尾崎豊の「シエリー」は迫力満点だし、韓国で造られたバラード「J」はしっとり聴かせる(私も「J」は大好きです)。

 演歌の衰退が言われて久しいが・・本当の問題は、エンターテインメントの世界で本物の実力を持つ者が出る場所がますます狭まっていることにある。』

 金子さんは、「日本のいろいろな部門で、本物の実力を持つ者が出る場所がますます狭まっている」といいたいらしい。

 辻井喬さんとの対談もある。『辻井さんとの対談はこれが初めてではない。弟の堤義明氏の裁判があったとき、共同通信社で対談があった。そのときが初めてであった。記者の方が対談相手としていろいろな方を(対談相手に)提案したら、私を選んでくれたのだ』

 建築家の難波和彦氏も登場する。氏は、安藤忠雄氏が自分の後継として東大教授に推挙した方である。

 「へえっ」と思ったのは、すし屋の職人さんとの対談。

 【極端に言えば、シャリは「シャリ」って言うぐらいですから、「シャリシャリ」するのがいいんです。すし米は口の中でポロっとほどけるような感覚がい。いいシャリは唾液をぱっと吸収してくれるそこへネタの旨味がでるんですね。でも、新米は水分を吸い込まないから、ネタの旨味がでないんです。

 うちは長野の標高800mのイッケン米で古米まで寝かせてもらってます。今年の分は去年の11月に代金を支払い、貯蔵してもらうんです。

・ ・・昔は探さずともすし用の米がありましたけど、いまは探さないといけない。】

 序章で、自叙伝風に自らの生い立ちを語り、日本社会の閉塞状況を語る。この章で、小泉・竹中路線を痛烈に批判する金子さんが、70年代初めの全学連世代であったこと(東大自治会委員長だった)を、知りました。

追伸:門倉有希さんの「J」,よろしければお聞きください。

http://www.youtube.com/watch?v=mvnkwCfW4uE&NR=1