2008-01-01から1年間の記事一覧

反貧困

「反貧困」(湯浅誠著、岩波新書、08年4月刊)という本を読みました。先日、NHKの特集番組で、著者の湯浅さん(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい事務局長)と、大学の先生、それに経団連の役員の3人の討論が放映されていたが、湯浅さんの…

司馬遼太郎と三つの戦争(続)

次が太平洋戦争。日露戦争の勝利から太平洋線の敗北まで、ご存知のようにわずか40年です。 『とりわけ、ノモンハン事件は深刻です。 これは国家間の戦争にまでは拡大しませんでしたが、戦争が示す以上のものを日本・日本人に残しました。ダメな日本・日本…

司馬遼太郎と三つの戦争

「司馬遼太郎と三つの戦争」(青木彰著、04年3月刊、朝日選書)という本を読みました。先日,別の本を探しに高島屋の三省堂に行ったとき目にとまり、「これは面白そうだ」と衝動買いしたのです。筆者の青木さんは、産経新聞で司馬さんの一年後輩で、生涯の…

男と女のお話

【アリマキはメスの仕様から、一段階、あえて減らすことを行った。2本あるX染色体をひとつ捨てることにしたのだ。XX型がX型になる(X0型と表記)。X0型になれば、文字通り情報量は半減する。情報量が半減すれば、そこで作られるたんぱく質量も・・・半減す…

男と女のお話

「男と女のお話」というのは、日吉ミミの演歌だが、「できそこないの男たち」(福岡伸一著、光文社新書)を読んで、この書は「男と女のお話」という題にすればもっと売れるのでは?と思いました。とても興味深いので、少し長くなりますが、以下、紹介します。…

嘘つき大統領のデタラメ経済

米国の大統領選挙も終わりました。 『嘘つき大統領のデタラメ経済』(ポール・クルーグマン著、早川書房、04年1月刊)という本を県立図書館の棚で見つけ、面白そうだな、と借りてきました。筆者は、今年の経済学のノーベル賞受賞者。書名から見て、ブッシ…

『理性の限界』 

ノーベル物理学賞の日本人受賞が話題になっています。南部博士は「CP対象性の破れ」の発見、益川・小林教授は、その対象性の破れは「クオークが3個でなく6個以上ないといけない」と、理論で説明したという。 と、新聞やニュースで聞いたが、何のことか全然…

『司馬遼太郎全講演(5)』(朝日文庫)を読みました。

『坂の上の雲秘話』と題する、94年2月4日海上自衛隊幹部を前にする講演が載っていました。【私は陸軍の大本営参謀だった人に言ったことがあります。「陸軍に入りますと、『作戦要務令』を持たされます。そこには兵力の分散はいちばんいけないと書いてま…

『閉塞経済』(金子勝著、ちくま新書、08年7月刊)

を読みました。 【「金融資本主義」の時代を分析するために、どのような経済学が必要なのか―――この本は、この問いに対する私のささやかな考えを書いたものです。】という前書きから始まります。【 】内は同書からの引用 バブル発生、崩壊の原因 【普通の経済…

容疑者Xの献身

『容疑者Xの献身』(東野圭吾著、文春文庫)を読みました。 著者の東野圭吾氏の名前は20年以上前から知っていましたが、作品を読んだのは今回が初めてです。二十数年前、当時、中部IE協会なる組織に顔を出していまして、IEの大先達デンソーのOさんの…

ゆらぐ脳(2)

【池谷博士が研究を語るのが面白い】 実験科学は「相関関係」を発見するのであり、「因果関係」を証明するものではない。 仮説を立てる訓練は、サイエンテイストに欠かすことはできません。 仮説を立て、戦略を立て、定めたゴールに到達するようにプロセスを…

ゆらぐ脳

池谷裕二、木村俊介著『ゆらぐ脳』(文芸春秋社、08年8月刊)を読んでいます。 池谷さんは以前紹介しました『海馬』、『進化しすぎた脳』、『記憶力を強くする』の著者、最前線の脳科学者。木村さんは、ジャーナリストで週刊文春に『仕事のはなし』を連載…

磯崎新の「都庁

本屋を覗いたら、平松剛さんの新著が出ていた。文芸春秋社刊『磯崎新の「都庁」』(¥2190+税)です。平松さんは『光の教会 安藤忠雄の現場』(01年大宅ノンフィクション賞受賞)を読んだことがある。本職は建築家ですが、建築家を題材にしたルポルタージ…

兼好法師の結婚観 

司馬遼太郎さんの小説は、ほとんど読んでいますが、1冊だけ読んでいないのがあった。『箱根の坂』です。で、この盆休みに読んでみようと、図書館で借りてきました。 北条早雲(1432〜1519)を主人公とする小説で、室町から戦国時代への、世の中の動きを活写…

なぜか売れなかったぼくの愛しい歌

なぜか売れなかったぼくの愛しい歌 8月1日は、作詞家阿久悠の命日です。本屋を覗いたら、『なぜか売れなかったぼくの愛しい歌』(河出文庫)という本を見つけた。早速、購入してパラパラめくってみた。阿久さんが「自分の作詞で、これは良い歌だと思ったわり…

なぜか売れなかったぼくの愛しい歌

8月1日は、作詞家阿久悠の命日です。本屋を覗いたら、『なぜか売れなかったぼくの愛しい歌』(河出文庫)という本を見つけた。早速、購入してパラパラめくってみた。阿久さんが「自分の作詞で、これは良い歌だと思ったわりに、あまり売れなかった歌」50篇…

『ロシヤ闇と魂の国家』(文春新書08年4月亀山郁夫+佐藤優)

を図書館の開架で見つけ、「カラマーゾフの兄弟」の訳者とかつての外務省きってのロシヤ通の対談だから、面白いだろうと借りてきました。 でも、かなり難解な本。佐藤さんは同志社大学院神学研究科の出だったんですね。 よく分からない本ですが、その中で気…

憲法9条の思想水脈

『憲法9条の思想水脈』(山室信一著、07年6月刊、朝日新聞)を東区図書館の開架で見つけ、借りてきました。 昨年の司馬遼太郎賞受賞作品だそうです。題名から、9条の非戦の思想の依って来る由縁を解説した本、とは推定できましたが、幕末の儒学者、横井…

少子・高齢化問題を解決

少子・高齢化問題を解決する名案(迷案かな?)です。この問題を議論するとき、少子の子とは何歳以下をいい、高齢者とは何歳以上を言うのでしょうか。厚労省の統計では、0〜14歳を年少人口、65歳以上を老年人口、と定めています。しかし、この定義は4…

がんはなぜ生じるか

文芸春秋7月号に、立花隆さんが「僕はがんを手術した(最終回)」を掲載していたが、その中で「がんはなぜ生じるか」(講談社ブルーバック、永田親義著、昨年12月刊)を激賞していた。愛知県図書館の開架にあったので、早速借りてきました。 著者の永田さ…

バイオ燃料

NHKの「クローズアップ現代」が3日、「バイオ燃料と食料高騰」を取り上げていました。 たまたま読んでいた『「お金』崩壊」(青木秀和著、集英社新書、4月22日刊)という面白い題の本に、この問題が記述されていました。【2007年1月、ブッシュ大統領…

死因不明社会

海堂 尊(たける)という小説家(兼医師)がいます。今、週刊朝日に連載小説を載せていますが、これがなかなか面白いので興味を持ちました。「チーム・バチスタの栄光」なる小説が評判になっていました。私は未だ読んでいませんが、海堂さんの作品です。最近…

居酒屋タクシー愛用のエリート官僚に是非読ませたい

先日、愛知県図書館をのぞいたら、経営者の執筆した本の展示をやっていて、『企業崩壊』(吉野俊彦著、98年12月刊日経新聞社)という本を見つけました。 吉野さんは日銀のエコノミストとして有名。また鴎外の研究者として著名ですが、「経営者かな?」と…

日本人の脳に主語はいらない

月本 洋という人がいます。1955年生まれ。東大工学部計数工学科卒。東京電機大学教授。専攻は人工知能。つまり、コンピュータやロボットの専門家、事実「ロボットのこころ」という著書もある。この人が『日本人の脳に主語はいらない』という本を最近講談…

川鉄千葉のこんな事例もあった

ここ数回、野口著『モノづくり幻想が日本経済をダメにする』から引用していましたが、やっと読み終わりました。 エピソードの引用が巧みで、面白い本でした。タイトルが一寸何のこと?と思わせますが、筆者の主張を、これもエピソードで説明すると、 【半世…

ジャガーの身売りと金融業

[経済と世相]ジャガーの身売りと金融業 インドのタタという自動車メーカーが、イギリスのジャガーを買収したという記事が、先月新聞に掲載された。 そう言えば数年前、IBMがパソコン部門を中国の会社(レノボだったかな?)に売却して話題になった。いったい…

新しいタイプのグローバリゼーシヨン

【直接投資受入残高のGDPに対する比率を見ると、・・・イギリスにおける外資の比重は、GDPの36.6%と驚くべき高水準・・これに対して、日本では、わずかに2.2%に過ぎない(05年)。アメリカ(13%)やドイツ(18%)もイギリスより低いとは…

「オフショアリング」

次に、イギリスを例にとってみよう。【05年におけるイギリスの一人当たりGDP(37310ドル)は、日本を上回る・・・イギリスが日本を抜いたことは、格別の意味を持っている。なぜなら、これまで一人当たりGDPで日本を上回っていたヨーロッパの国々は、…

グローバリゼーシヨンの波(1)アイルランド

野口悠紀雄さんの『資本開国論』(07年5月刊)を読んでいます。 先日、太田経済担当大臣が「日本はもはや一流国ではない」と発言したそうです。 一人当たり国民所得が06年、18位に落ちたことを踏まえての発言でしょう どうしてこういうことになったか…

愛知県の中央構造線

話題を変えます。「地質学」の話です。 図書館で新刊の棚を見ていたら、「愛知県の中央構造線」があった。風媒社から昨年12月刊行の本だ。 手にとってみると、「おわりに」で、「小学校5年生で柿原喜多朗先生の弟子に」とあり、「謝辞」にはご指導にお礼と…