コンピュータと脳

奇跡の脳

『奇跡の脳』という本が4月、新潮文庫から刊行されました。 『・・・の脳』とか『脳の・・・』とかの題名の本を見ると、すぐ買いたくなって、購入しました。 読んでみて『凄いなぁ』と感じました。筆者は、ジル・ボルト・テイラーという1959年生まれの脳科学…

言葉と脳と心

『言葉と脳と心』(講談社新書)という1月の新刊を図書館の書棚に見つけてすぐ借りてきました。「脳、心、言葉」というと、私の最大の関心事ですので、読まずにいられません。 著者は、山鳥重(あつし)、神経心理学、失語症、記憶障害などが専門の医師です…

脳は何故「心」を作ったのか

先日の直方への旅、新幹線の車中で『脳は何故「心」を作ったのか』(前野隆司著、ちくま文庫)という本を読み終えました。筆者はロボット工学の専門家で、『ロボットに「心」をもたせることは可能か?』を追求した本です。以下は、本の内容紹介と言うより、…

『単純な脳、複雑な心』

「みなさん、はじめまして。池谷裕二と申します。私はこの高校を平成元年に卒業しています。・・・」という言葉から、この本は始まります。 著者の母校の静岡県立藤枝東高校で、後輩たちに「脳科学」を語るという仕掛けです。 それにしても、平成元年に高校…

ゆらぐ脳(2)

【池谷博士が研究を語るのが面白い】 実験科学は「相関関係」を発見するのであり、「因果関係」を証明するものではない。 仮説を立てる訓練は、サイエンテイストに欠かすことはできません。 仮説を立て、戦略を立て、定めたゴールに到達するようにプロセスを…

ゆらぐ脳

池谷裕二、木村俊介著『ゆらぐ脳』(文芸春秋社、08年8月刊)を読んでいます。 池谷さんは以前紹介しました『海馬』、『進化しすぎた脳』、『記憶力を強くする』の著者、最前線の脳科学者。木村さんは、ジャーナリストで週刊文春に『仕事のはなし』を連載…

日本人の脳に主語はいらない

月本 洋という人がいます。1955年生まれ。東大工学部計数工学科卒。東京電機大学教授。専攻は人工知能。つまり、コンピュータやロボットの専門家、事実「ロボットのこころ」という著書もある。この人が『日本人の脳に主語はいらない』という本を最近講談…

戦争する脳2

PTSD(外傷後ストレス症候群、ヴェトナム戦争帰還兵に高い頻度で出現した)と自殺者の関連についてもこう述べています。 【1998年に、それまでは年間2万人程度であった自殺者が、3万人まで跳ね上がって、すでに10年近くが経過している。つまり、…

戦争する脳1

本屋を冷やかしていて「戦争する脳」(平凡社新書、計見一雄著、07年12月刊)という本を見つけました。「脳」という文字を見ると、直ぐ買いたくなる癖があって、つい買ってしまいました。 「戦争をしているとき人間の脳の内部でどのような信号のやり取りがあ…

「分かる」ということ

山鳥 重(あつし)著『「わかる」とはどういうことか』(ちくま新書、02年4月刊)という本を読みました。 筆者は神経内科が専門で、その中でも高次機能障害学という分野を主として研究している。 脳梗塞や脳出血などで不幸にして脳に損傷を生じてしまい、そ…

「記憶力を強くする」

故米原万理さんの書評を集めた本(「打ちのめされるようなすごい本」文芸春秋刊)を読んでいたら、池谷裕二著「記憶力を強くする」(講談社ブルーバック)を激賞していた。 「物欲しげなタイトル・・・どうせハウツーもののゴミ本だろうと、危うく看過すると…

分かるっていうこと

『遺伝子・脳・言語』(堀田・酒井著、中公新書、07年3月刊)という本を読み ました。「カフェ・デ・サイエンス」という武田計測先端知財団の、市民と科学者が 対談する催しを本にまとめたものDす。 以下、脳の「分かり方」についての議論、面白かったの…

『遺伝子・脳・言語』

『遺伝子・脳・言語』(堀田・酒井著、中公新書、07年3月刊)という本を読み ました。「カフェ・デ・サイエンス」という武田計測先端知財団の、市民と科学者が 対談する催しを本にまとめたものDす。 以下、脳の「分かり方」に着いての議論、面白かったの…

私の身体は頭がいい

内田 樹(うちだたつき)という学者(神戸女学院大学教授、フランス現代思想) がいる。本人の言によると、「余暇に武道の稽古をしている大学教授」というよりは 「生活のために大学教授をしている武道家」、合気道など日本武道が好きらしい。武 道家として…

「いま」は常に過去?

『進化しすぎた脳』(講談社ブルーバック、07年1月刊)という本を読みました。 副題が「『中高生と語る「大脳生理学」の最前線』とあるように、筆者の池谷裕二氏 が、02年12月アメリカに招かれニュヨークの高校生を相手に脳の講義をした記録 だそうで…

無思想の発見

昨年12月に出て買った本を、今読んでいます。『無思想の発見』(ちくま新書)養老孟司さんの本、本人が「あとがき」に【この本は売れない。売れないと思う】と書いているように、養老さんの本にしては珍しくあまり売れなかった。しかし、読んで見て、これ…

文脈力

『「頭がいい」とは、文脈力である。』(斎藤孝著、角川書店、04年12月刊)という風変わりな題の本を読みました。 この風変わりな書名が気に入ったのです。 以前、「国語が小学校の教科で最重要!」と書いたことがあります。その折、「何故、国語が最重…

中西教授の英語教育論

K様から、文藝春秋のコピーを頂きました。中西輝政京大教授の「小学生に英語教育は必要か?」でした。 この問題について、私が最も問題だと考えていることは、「幼時の外国語教育が、子供の脳の形成にどのような影響を与えるのか?」について、脳研究者は色…

心の在り処

教育TVの夜10:25からの「知るを楽しむ」、2〜3月の月曜は、東北大学の 川島隆太教授が『脳を鍛える』を語っています。 20日の月曜の講義は、私にとって興味津々でした。【1935年に、ポルトガルのエガス・モニスという神経科の医師が「ロボトミ…