心の在り処

 教育TVの夜10:25からの「知るを楽しむ」、2〜3月の月曜は、東北大学
川島隆太教授が『脳を鍛える』を語っています。
 20日の月曜の講義は、私にとって興味津々でした。

【1935年に、ポルトガルのエガス・モニスという神経科の医師が「ロボトミー」という手術を発明しました。彼は、今で言う統合失調症などの精神疾患を持った患者の中で、特に暴力をよくふるうタイプの人たちが、前頭前野の両側を少し壊せば暴力性がおさまるということを発見したのです。実際にモニスがやったのは、額の両側に小さな穴をあけ、そこから小さなハサミを差し込んで、前頭前野神経細胞から出ている神経線維をきる手術でしたが、その後、ハサミでなく金属のヘラを入れて神経線維を引き離すやり方になりました。この手術には、暴力症状が完全におさまり、・・・劇的な効果がありました。モニスはこの発見で、1949年にノーベル医学・生理学賞を受賞し、1950年代から10数年の間にロボトミーは全世界で行なわれていきました。
 ところが、ロボトミーはその後、まったく行なわれなくなります。・・・この手術を受けた人たちに、自分の心の現在と過去、つまり手術の前後がつながらないという症状が出た・・・。彼らは、自分自身がどんな生い立ちでどんな環境に育ったという客観的事実はわかっていても、その自分と今の自分は別人である感じるようになっていました。そこから、この手術はどうも私たちが「心」と読んでいるものを破壊してしまうのではないかという非難の声が上がり、「大切なものを失ってしまう」という理由から、禁止されるようになったのです。】
 以上の話、どこが面白いかと言うと、
”「過去の記憶の中の自分」こそ「こころ」なのだ。”と私の仮説を書きました。
(もう一度確認されたい方は、
http://d.hatena.ne.jp/snozue/20060107

 前頭前野の神経線維のつながりを絶つと、過去の記憶の中の自分が自分でなくなる。
そして、過去の記憶の中の自分が自分でなくなると、「心」がなくなる。
心の在り処は、前頭前野の神経線維のつながりにあったわけです。