新しいタイプのグローバリゼーシヨン
【直接投資受入残高のGDPに対する比率を見ると、・・・イギリスにおける外資の比重は、GDPの36.6%と驚くべき高水準・・これに対して、日本では、わずかに2.2%に過ぎない(05年)。アメリカ(13%)やドイツ(18%)もイギリスより低いとはいえ、日本よりはるかに高い水準だ。・・
ただし、アメリカやドイツも、80年代前半までは現在の日本と大差のない状態だった。これらの諸国において直接投資受入残高のGDPに対する比が二桁になったのは、1999年以降のことだ。つまり、先進国間の資本交流は、文字通り「21世紀型グローバリゼーシヨン」なのだといえる。】
要するに、経済のグローバリゼーシヨンには、商品あるいは製品が国境を越えて流通する、というグローバリゼーシヨンと、生産に必要な要素、たとえば資本とか、労働力とかが、国境を容易に越えるという新しいタイプのグローバリゼーシヨンがあり、日本は、製品のグローバリゼーシヨンには巧く対応できたが、新しいタイプのグローバリゼーシヨンに対応できていない。それが、一人当たりGDPが1位から18位に落ちた理由だという。
IT技術の発展は、労働者が国境を越えて移動しなくても、労働力としては国境を越える(オフショアリング)時代を実現し、同時に国境を越える資金の移動を容易にし、直接投資を盛んにした。
そして、直接投資とは、経営力が国境を越えることを意味する。つまり、古いタイプのグローバリゼーシヨンは、製品の国際競争であったのに対し、新しいタイプのグローバリゼーシヨンは、労働力や経営力など生産要素の国際競争を意味する。
こうした時代に、日本の働く人々に、健康で文化的な生活を維持できる雇用を、いかに提供していくかを、国や企業のリーダーは、考えなくてはならない。
追伸:参考 06年の一人当たりGDPランクによると、
日本 18位 34,252(US$)
イギリス 11位 39,573
米国 7位 43,801
アイルランド4位 51,421