昭和史

『昭和天皇実録の謎を解く』

(2015年3月文春新書、半藤一利、保坂正康、御厨貴、磯田道史著)を読みました。 『昭和天皇実録』が公開されたのは、2014年5月。宮内庁書陵部が編纂しあ禅6巻、12000ページの史料です。これだけの史料を一般人が読み通すことは困難です。そ…

安保条約の成立

「集団的自衛権」および「沖縄基地問題」の、問題の本質を知るためには、その基礎にある日米安保が、どのような交渉過程で締結されたかを知る必要がある。 6月23日は、「沖縄慰霊の日」。第二次世界大戦の沖縄戦が終了した日だ。この日に因み、基地と日米…

「松本清張と昭和史」

(保坂正康著、平凡社新書、2006年5月刊)を図書館の棚で見つけました。『昭和史発掘』、『日本の黒い霧』の著作で知られる清張は、その中で何を語りたかったか。彼が、『昭和史発掘』の連載を始めたのは、昭和39年7月6日号からで,連載は46年12日号…

歌謡曲から「昭和」を読む

『歌謡曲から「昭和」を読む』(なかにし礼著、11年12月刊、NHK新書)を読みました。以下、印象に残った記述。 【まったく不思議な符合としか言いようのないのだが、歌謡曲は初めから終りまで、「昭和」という時代とぴったり重なっている】 【歌謡曲…

パル判事

岩波新書の2月の新刊ですが、中里成章著『パル判事』を読んでみました。東京裁判で、被告の無罪を訴えたインドのパル判事の、生まれと育ちから説き始めて、彼の思想と、東京裁判での彼の主張の妥当性を、比較的公平に分析しています。面白い記述が目につき…

ぼくらの頭脳の鍛え方

『ぼくらの頭脳の鍛え方』(立花隆、佐藤優著、文春新書、09年10月刊)という本を図書館で見つけ読んでみました。 両者ともに凄い蔵書家で、立花さんは7〜8万冊くらい、佐藤さんは1.5万冊くらいの蔵書を持ち、毎月の本の購入代はほぼ10万円だそう…

ノモンハン戦争

岩波新書の『ノモンハン戦争』(田中克彦著、09年6月刊)を読みました。 ノモンハン戦争そのものの記述よりも、戦争の背後にあったモンゴル、ソ連、満州国(日本)の当時の事情の解説に重点を置いた本です。ソ連の大粛清がモンゴルでも行われたこと。モン…

司馬遼太郎と三つの戦争(続)

次が太平洋戦争。日露戦争の勝利から太平洋線の敗北まで、ご存知のようにわずか40年です。 『とりわけ、ノモンハン事件は深刻です。 これは国家間の戦争にまでは拡大しませんでしたが、戦争が示す以上のものを日本・日本人に残しました。ダメな日本・日本…

司馬遼太郎と三つの戦争

「司馬遼太郎と三つの戦争」(青木彰著、04年3月刊、朝日選書)という本を読みました。先日,別の本を探しに高島屋の三省堂に行ったとき目にとまり、「これは面白そうだ」と衝動買いしたのです。筆者の青木さんは、産経新聞で司馬さんの一年後輩で、生涯の…

『司馬遼太郎全講演(5)』(朝日文庫)を読みました。

『坂の上の雲秘話』と題する、94年2月4日海上自衛隊幹部を前にする講演が載っていました。【私は陸軍の大本営参謀だった人に言ったことがあります。「陸軍に入りますと、『作戦要務令』を持たされます。そこには兵力の分散はいちばんいけないと書いてま…

憲法9条の思想水脈

『憲法9条の思想水脈』(山室信一著、07年6月刊、朝日新聞)を東区図書館の開架で見つけ、借りてきました。 昨年の司馬遼太郎賞受賞作品だそうです。題名から、9条の非戦の思想の依って来る由縁を解説した本、とは推定できましたが、幕末の儒学者、横井…

日本のいちばん長い夏

なんとか積ん読しておいた本を片付けようと、読書三昧の年末です。 「日本のいちばん長い夏」(文春新書、半藤一利編)は、1963年6月、文芸春秋社が終戦の生き証人とも言うべき30人、(内吉田元首相と町村金五北海道知事(当時、現官房長官の父)の二…

国家の罠

佐藤優著『国家の罠』は、米原万理さんが、05年12月25日の読売紙上<今年の3冊>で「今年わが国で誕生した作家たちの中で私的にはNo1のデヴュー作」と激賞した本を文庫で発刊したもの。第59回毎日出版文化賞特別賞受賞作品とのことです。 米原著「打ちの…

自伝の人間学

保阪正康さんは近年昭和史の研究家として有名です。「なるほど自伝というものは、その時代の史料なんだな」と、保阪著「自伝の人間学」を手にした時思いました。ところが、「あとがき」まで読んできて一驚しました。 【本書は、月刊誌『新潮45』に、昭和61…

落日燃ゆ

東京裁判のNHK特集を見て、昔読んだことがあるのですが、城山三郎著『落日燃ゆ』(城山さんも先日NHK特集がありました)を再読したくなりました。A級戦犯として死刑に処せられた唯一の文官、広田弘毅の伝記です。 2.26事件の後、首相に就任した広…

沈黙のファイル

『沈黙のファイル』という本を本屋の棚で見つけました。共同通信社社会部の編で、副題が、「瀬島竜三」とは何だったか、とありましたので、つい手にとってみて買ってしまいました。96年の刊行ですが、99年に新潮文庫になりました。 ご承知のように、瀬島竜三…

タラとレバ

「”タラ”とか”レバ”は厳禁だ」と、若い頃、言い聞かされました。「こうしタラ良いだろう」とか「こうすレバ良いだろう」と言うな!そう思ったら、言う前にやってみろ!というのです。 生産現場で厳禁の”タラ””レバ”に、日本歴史の世界で挑戦してみようという…

天皇の官僚

外務大臣にも知らせず国連分担金の滞納をする!まさに”天皇の官僚”は外務省において健在でした。”天皇の軍隊”は敗戦で消滅しましたが、”天皇の官僚”は今も生き残った。 ”天皇の官僚”とは、(小生の定義では) ①国民にも政府にも知らせず、自分たちで決めたこ…

この話、知ってます?

「日本の外交は国民に何を隠しているのか」(河辺一郎(愛知大学教授)著、集英社新書)という本を読んで「えっ、そんなことあったの?」と仰天しました。 「国連分担金を日本がいつも滞納している」という話です。アメリカが、国連の決めることが気に入らな…

補論・あの戦争は何だったのか

7月20日の夕刊は、昭和天皇が靖国参拝中止の理由を元宮内庁長官がメモした資料が見つかったと、大きく報道していた。日経朝刊の特種を各紙が追随していました。 「松岡や白取まで合祀された」と嘆いてみえたと言う。日独伊三国軍事同盟を推進した当時の松…

昭和史(戦後編)

半藤一利著『昭和史 戦後編』(文芸春秋刊、¥1600+T) を読みました。これって、半藤さんの講談「戦後史」ですね。 しかし、自分の子供の頃の政治の動きはこうであったか、と納得させられる本です。 以下、そのさわりの一部。 【内務省が中心となり、連合軍…

祖国とは国語

藤原正彦さんの『祖国とは国語』という本を読みました。03年4月講談社から出た本が、今年の1月1日新潮社から文庫(¥420)として出版されたものです。 3部に分かれ、第一部は国語教育絶対論、要するに、小学校の教育は「一に国語、二に国語、三.四…

韓国語と茨城のり子さん

今週の月曜日、教育TVで『脳を鍛える』を見ていたら、こんな面白い話がありました。 「脳と言語」について、川島先生がこう述べていました。「韓国の人たちの中で、英語が第一外国語で、日本語が第二外国語として習ってきた人たちに協力していただいて研究…

憲法9条の裏話

今回は憲法9条の話題。 憲法の改定が話題(特に9条)になっていますが、先日紹介しました「昭和史 忘れ得ぬ証言者たち」に、筆者保阪さんと山田久俊氏(山田久就元駐ソ大使のご子息)との対談が載っていました。山田さんは、総司令部のケイデイス民政局次…