天皇の官僚

 外務大臣にも知らせず国連分担金の滞納をする!まさに”天皇の官僚”は外務省において健在でした。”天皇の軍隊”は敗戦で消滅しましたが、”天皇の官僚”は今も生き残った。
 ”天皇の官僚”とは、(小生の定義では)
①国民にも政府にも知らせず、自分たちで決めたことを実行する。
②それが国益に適うことだと確信している。
③その結果がうまく行かなくとも、絶対に責任を取らない。
以上の信念で行動するお役人です。外務省高級官僚の”天皇の官僚”ぶりの好事例がこの本にあります。
【日本が安保理の常任委員入りを狙って、結局成功しなかった話です。先般大きく報道されました。
 この問題の経緯を見てみますと、98年年頭、米国がイラクを爆撃するおそれが高まった。2月13日にリチャードソン国連大使が来日した。
「米国連大使の来日は実は、国内の関心を高めるための日本側の働きかけでもあった」(98/03/06朝日)
 つまり、武力行使に反対する各国や国内世論を、武力行使支持に向かわせるように働きかけること、それが日本(外務省)が目ざし、実行したことだった。
・・与党である社民党が、自民党からも異論が出されるような事態を了解していたわけではなかった。・・・与党政策連絡会議では、秋葉忠利社民党政審会長が「外務省は、戦争省か」と声を荒げたことが伝えられている。(98/02/14朝日)
 12月17日、米英が爆撃を開始した。日本はすぐにこれを支持する声明を発表し、安保理でも、他の理事国が遺憾の意などを表明する中で、唯一支持する演説を行った。実はこの支持声明、2月に準備されていた。(98/12/18朝日)
 18日の外務省の外国人向けの記者会見では、米英だけではなく日本なども攻撃が可能なのかとの質問に対して、外務省参事官から「その権限が与えられている」との発言まで飛び出した。
 要するに外務省は、米国共和党の右派以上に好戦的だった。「外務省は、戦争省か」と秋葉さんが喝破した所以でした。
 さて、日米同盟はいかなる法律に基づいて締結が可能か?「交戦権を行使しない」と憲法に規定された国が、どうして安保条約が結べるのか?日本の国内法でなく、国連憲章第51条(集団的自衛権)に基づくのです。
 自衛隊の海外派遣は国内法では違法なのだが、国連の規定に基づけば可能になる。
そこで、登場したのが、日本が安保理常任理事国になるという考えである。安保理は世界の軍事問題を討議し、必要とあれば派兵もする。当然、常任理事国は海外派兵ができなくてはならない。憲法ではなく、国連憲章でもって、自衛隊の海外派兵を可能ならしめるという発想である。常任理立候補のねらいはここにあった。】
 こんな話が載っている本でした。皆さん、こんなことが国民の知らない所で進行しているって信じられます?