この話、知ってます?

 「日本の外交は国民に何を隠しているのか」(河辺一郎(愛知大学教授)著、集英社新書)という本を読んで「えっ、そんなことあったの?」と仰天しました。
 「国連分担金を日本がいつも滞納している」という話です。アメリカが、国連の決めることが気に入らなくて、分担金を滞納しているという話は度々聞いていますが、まさか日本が滞納の常習国だとは知りませんでした。
 国連の規則によると、会計年度が始まって30日以内に納付することになっているそうです。
国連の会計年度は1月1日から始まるそうですから、通常は1月中に払わねばならない。
日本は90年代以降でみると、平均して6ヶ月半滞納している。米国を除くと先進国の中では群を抜いて遅い。
 この滞納が国会で追求されたことがある。91年、質問者は当時社会党議員の秋葉忠利さん。外務省の高官が「分担金はドル建てですので、円高の時期をねらって納付している」という趣旨の答弁をした。
 では、国民は「手持ちの株が値上がりしたら売却して税金を払います」と滞納して良いのだろうか。
 不思議なことに,日本の外相や首相が国連で演説をするということになると、その前日までに払い込まれるのだそうだ。日本の大臣が国連で演説したって円高になるわけはないから、外務省高官の証言は嘘っぱちである。秋葉さんは高官を偽証罪で告発すべきだった。
 更に驚くべきことに、この分担金の滞納について、外務大臣が知らないのです。
 03年5月7日の参議院決算委員会で川口外相の答弁。
「国連の分担金を誠実に、アメリカと違って誠実に払い続けているから、我が国が国連の中で信頼を得ていろいろなことができている」
 川口外相がこう表明したこの年度、日本が完納したのは翌年3月,滞納14ヶ月とワースト記録を作ったという。
 女性大臣だから知らなかったというのではない。男性大臣も同じ。
 05年4月25日の衆議院決算行政監視委員会第一分科会での町村外相答弁。
「自分の分担金を払わないというようなところ、あるいは支払いを遅延させている国々も結構ある中で、日本というのは大変真面目な国なものですから、きちんきちんと毎年その義務を履行している。」

 では、何故日本は滞納するのか?
 98年は米英がイラク戦争を始め、安保理理事国だった日本が安保理で唯一爆撃支持を表明した。03年は米英がイラク戦争を始め、日本が改めて常任理事国への願望を表明した。(98年には9月に完納、米国を除くと先進国の中では最も遅い98番目、03年がワースト)
 日本の拠出の遅れは、為替相場ではなく米国の軍事行動と連携していた。
分かりやすく言うとこうです。
「親分の米国が完納していないのに、子分の日本が完納しては、親分の顔をつぶすことになる」
 この話、長くなりましたので、続きは次回。