血圧の話

 血圧について、かねてから疑問に思っていることがあります。
 上が140、下が90という基準です。
 血圧は、血管を流れる血液の抵抗が大きければ大きくなる。従って、血管の柔らかい若い者と、年齢を経て血管のしなやかさも失われている老人とは、標準とする血圧は違って当然です。
 だから、若くても年とっても一律140という基準の決め方はおかしい。老人は140ぐらいになるのは当然で、逆に、子供が140もあったらおかしいのではないか?
 もう一つの疑問があります。
 よく知られていることですが、血圧を下げる薬は、飲んでいる間だけ有効で、飲まなくなるとまた血圧は上がってしまう。一生のみ続けないといけないという。
しかし、副作用のない薬はない。一生のみ続けて害はないだろうか?

 『高血圧は薬で下げるな』(浜 六郎著、角川ワンテーマ新書)を、書店をひやかしていて見付け、買ってきました。
 著者は、’45年生れの医師で、NPO法人代表、医薬品の安全で適正な使用の調査研究、広報活動にたずさわっているという。

 この本、見事に私の疑問に答えていました。

『70歳以上では、上が160〜180、下が90〜100程度でも降圧剤はまったく不要で、無理に血圧を下げるには及ばない・・・60歳未満、あるいはもっと年齢が若くても自立度を考えると180/100程度までは、降圧剤での治療は不要かつ有害です。』(文中の自立度とは、老人になって自分の身体を自分でコントロールできる人の比率)
 血圧を消防車に例えると、高所の火災に対しては水圧を上げないと、水が届かない。
血圧は、必要があるから上昇するのに、その必要な個所をそのままにして、
血圧を下げるのは問題があるというわけです。
 『以前からも問題と考えられる降圧剤が、日本ではいつの間にか主流に
なりました。一つはARI、もう一つはカルシューム拮抗剤のアムロジピンです。』
『平滑筋が収縮するためには、細胞の外から内側にカルシュームイオンが流入する必要がありますが、細胞の表面にあるカルシュームが出入りする穴を、カルシュームチャンネルといいます。
 カルシューム拮抗剤は、このカルシュームチャンネルに蓋をして、カルシュームが細胞内に流入するのを妨害し、平滑筋が収縮するのを妨げ、弛緩させます。こうして血管を拡張させるのです。・・・
 ところが、カルシューム拮抗剤には大きな問題があります。カルシュームチャンネルは血管の平滑筋だけでなく、体中のすべての細胞にあります。・・・他の細胞の必要なカルシュームチャンネルにまで蓋をすることになり、細胞が本来の機能を全うできなくする危険性があるのです。』
 現在、カルシューム拮抗剤を使用されてみえる方に一読をおすすめします。
(使用中の薬を急に止めるのも問題があるそうです。)
追伸:何故、血圧のガイドラインが、こんなに低いのか?著者は、製薬メーカーの暗躍ありといっていますが、
真偽のほどは分かりません。因みに2004年の血圧降圧剤の消費は8000億円、5年間で1.6倍という。