サイエンス

科学という考え方

池上彰さんがサイエンスを書いている。社会や経済の解説は雑誌のエッセイや、TV解説で目にするが、サイエンスを会扱うのは珍しいと、『はじめてのサイエンス』(nHK新書、2016年10月刊)を大学図書館の棚で見つけて手に取りました。 巻末の参考文…

『ゲノムが語る生命』

(集英社新書2004年11月刊)を読みました。 中村桂子さん、ご存じでしょうか。JT生命誌研究館館長、1936年生まれ(小生と同年)分子生物学者、著書に「自己創出する生命」、「生命誌の世界」など。 かねてから私の尊敬する論客です。 新書本ですが…

『生命とはなんだろう』

((岩崎秀雄著、講談社新書2013年2月刊)を前書きに惹かれて読みました・ 筆者は、1971年生まれ、名古屋大学理学研究科博士課程修了。 『専門外の方とお話しする機会がありました。参加していた主婦の方が「私にとって生命と言えば、まずは自分の…

「自然な建築」

(隈研吾著、岩波新書08年11月刊)という本を図書館の棚で見つけました。隈さんの本は一月ほど前「小さな建築」を読みました。 http://blog.goo.ne.jp/snozue/d/20150318 http://blog.goo.ne.jp/snozue/d/20150319 「あの本はおもしろかったな」と、この…

『世界は分けても分からない』

(福岡伸一著、講談社現代新書、09年7月刊)という本を読みました。いや、実に面白い本でした。過去1年間に読んだ本の中で一番面白い。著者は、分子生物学者として著名な方ですが、分子生物学で近年判明した事々の中から興味深い話題を取り上げて雑誌「…

『5つの謎からわかる宇宙』

荒船良孝著、平凡社新書、2013年12月は、5つの謎を解説することで、現在の素粒子論と宇宙研究の最先端を語る本でした。 著者は、1973年生まれのサイエンスライターで、保育士でもある。 第一の謎:赤方偏移は宇宙が膨張していることを示す。時間を逆戻しす…

『指からわかる男の能力と病』

(講談社現代新書、2013年6月刊)を読みました。 Hox遺伝子と言う遺伝子があります。身体を形作る遺伝子で、染色体のある領域に10個ぐらいの遺伝子が並んでいます。 10個程度のHox遺伝子が並んでいる順とそれぞれが形作りを担当する部分が対応してい…

強い力と弱い力

「強い力」、「弱い力」の意味がわかりませんでした。物理学では、素粒子に働く力は、電磁気力、強い力、弱い力、重力の4つだ、と聞いたことはありますが、この「強い力」、「弱い力」って何なのかわからなかったのですが、この本、「強い力と弱い力」(大…

科学の限界

『科学の限界』(池内了著、ちくま新書2012年11月刊)を読んでいたら、面白い話がありました。3分の1の法則及び40分の1の法則です。 【人類の大祖先である猿人がチンパンジーと分かれたのは約600万年前。(その3分の1)約200万年前、原人は道…

植物は凄い

『植物はすごい』(田中修著、中公新書、12年7月刊)を読みました。 冒頭、植物の凄さを、こう説明しています。 【キャベツのタネの重さは、一粒が約5mgです。この一粒のタネが栽培されると、発芽して、芽生えが成長し、約4ヶ月後には、市販される大…

ざっくりわかる宇宙論

「ざっくりわかる宇宙論」(竹内薫著、ちくま新書、12年3月刊)という本を読みました。 図書館の棚に見つけてパラパラとめくってみたら“現在の「宇宙論」の大転回は、1998年ごろに起きた一連の新発見に由来します。“という文章が目に入りました。 「…

生物多様性について考える

週刊朝日に「池田教授の机上お砲弾」という連載を寄稿している池田清彦さんが、「生物多様性について考える」(中公選書)を刊行したと聞き、取り寄せました。 「生物多様性」って言葉、よく聞くんだけどどういう意味?と問われると答えるのが難しい。改めて…

長寿遺伝子を鍛える

『長寿遺伝子を鍛える』(坪田一男著、新潮文庫12年1月1日刊)を新年早々買い求めて読みました。 筆者の坪田さんは慶応大学医学部眼科教授。視力再生手術(レーシック)の専門家。日本抗加齢医学会副理事長だそうです。眼科の先生が、何故長寿の研究?読…

「逆システム学」再読

児玉龍彦さんのニュースを新聞で見て、その著書「逆システム学」(岩波新書、金子勝共著)を再度読んでみました。 最初に目を惹いたのは、次の言葉。 『よく言われるのが自然科学は実験できるのに、社会科学はそれが出来ない。 しかし、実験というのは、本当…

宇宙は本当にひとつなのか

『宇宙は本当に一つなのか』(村山斉著、講談社新書、11年7月刊)を読んでみました。「ニュートリノが光より早かった」という実験が話題になり、宇宙科学最先端の話題を知りたくなったのです。「暗黒物質」、「暗黒エネルギー」が興味深々でした。 まずは…

ハチはなぜ大量死したのか

『ハチはなぜ大量死したのか』(ローワン・ジェイコブセン著、中里京子訳)という本を文庫版(文春文庫、11年7月刊)で読みました。 一読して感じました。「これはレイチェル・カーソンの「沈黙の春」(下記URL)のミツバチ篇だナ」。 http://ja.wikipedi…

小惑星探査機はやぶさ

『小惑星探査機はやぶさ』(川口淳一郎著、中公新書、10年12月刊)なる書を見つけて読んでみました。以下、その中から面白い話題の紹介です。 これまで、人類の作ったものが地球の引力圏外まで行って着陸し、ふたたび地球に戻ってきたことはない(例えば…

ミトコンドリア

TVを見たら、爆笑問題が、ミトコンドリアを論じていました。ミトコンドリアとは、人間の細胞の中に沢山あって、酸素からエネルギーを作り出しているものです。 先日の九州旅行の新幹線で、『脳はなぜ「心」を作ったのか』(前野隆司著、ちくま文庫、10年1…

運動神経の科学

『運動神経の科学』という面白い題名の本を大学図書館で見つけました。著者は、小林寛道氏(日本陸上競技連盟医科学委員会委員長)、講談社現代新書で、2004年9月刊です。 著者は、95年、スプリントトレーニングマシーンという機械を開発した。この機械で練…

女は男の指を見る

『女は男の指を見る』(竹内久美子著、10年4月刊、新潮新書)を読みました。 23日の朝日の書評にも載っていましたね。 【女性は男性を見る時、顔や胸板などより指に注目しているという。身体の「末端」は共通の遺伝子からつくられており、腕の先(指)…

『パンデミックとたたかう』

3冊目は、『パンデミックとたたかう』(押谷仁、瀬名秀明共著、岩波新書)。 著者の押谷さんは東北大学医学部教授、瀬名さんは作家、小説「パラサイト・イヴ」で知られています。「パンデミック」とは、伝染病の世界的流行の意味です。 以下、この本から学…

世界は分けてもわからない

『世界は分けてもわからない』‘福岡伸一著、講談社新書09年7月刊)は面白い本でした。『本』の08年6月〜09年7月に連載されたエッセイです。 同書から面白い話題を一つ。 「ソルビン酸」ってご存知でしょうか?コンビニのサンドイッチなどに含まれて…

ノーベル賞と原爆の関係について

「日本にノーベル賞が来る理由」(朝日新書、2008年12月刊行)という本を図書館の書棚に見つけました。著者は、伊東乾(けん)という。略歴を見て、これは面白い人だと思いました。作曲家にして指揮者という。更に、東京大学大学院物理学専攻博士課程…

寿命論(2)

タンパク質に翻訳されない非コード領域は、遺伝子の発現を抑制しているらしいことが分かってきました。【非コード領域でつくられる小分子RNAの主要な機能が「抑制作用」であることから、過剰と見えたゲノムの役割は、生命システムを相対として「抑制系」…

寿命論(1)

生物科学の話です。「寿命論」(高木由臣著、NHK出版09年1月刊)を読み、こういう研究もあるのだなと、思いました。最新の生物科学の知見を基に、寿命に関する話題について述べています。1. 最初に、「寿命」をどう定義するのでしょうか?誕生から死ま…

だましだまし人生を生きよう

「だましだまし人生を生きよう」(池田清彦著、平成21年1月1日刊)を読みました。書名の面白さと筆者に惹かれて書店で衝動買いしたのです。池田清彦という筆者の名を、時折、雑誌や新聞の文章で見ていて、特異な思想家として注目していたのです。略歴を…

男と女のお話

【アリマキはメスの仕様から、一段階、あえて減らすことを行った。2本あるX染色体をひとつ捨てることにしたのだ。XX型がX型になる(X0型と表記)。X0型になれば、文字通り情報量は半減する。情報量が半減すれば、そこで作られるたんぱく質量も・・・半減す…

男と女のお話

「男と女のお話」というのは、日吉ミミの演歌だが、「できそこないの男たち」(福岡伸一著、光文社新書)を読んで、この書は「男と女のお話」という題にすればもっと売れるのでは?と思いました。とても興味深いので、少し長くなりますが、以下、紹介します。…

がんはなぜ生じるか

文芸春秋7月号に、立花隆さんが「僕はがんを手術した(最終回)」を掲載していたが、その中で「がんはなぜ生じるか」(講談社ブルーバック、永田親義著、昨年12月刊)を激賞していた。愛知県図書館の開架にあったので、早速借りてきました。 著者の永田さ…

死因不明社会

海堂 尊(たける)という小説家(兼医師)がいます。今、週刊朝日に連載小説を載せていますが、これがなかなか面白いので興味を持ちました。「チーム・バチスタの栄光」なる小説が評判になっていました。私は未だ読んでいませんが、海堂さんの作品です。最近…