ざっくりわかる宇宙論

「ざっくりわかる宇宙論」(竹内薫著、ちくま新書、12年3月刊)という本を読みました。
図書館の棚に見つけてパラパラとめくってみたら“現在の「宇宙論」の大転回は、1998年ごろに起きた一連の新発見に由来します。“という文章が目に入りました。
「これ読んでみよう」と思いました。
 私が、会社勤めをやめたのは1996年です。私は、1996年以後、つまり、私が現役引退後に、世の中に明らかになったことに、とても惹かれるのです。
 98年ごろから何がわかったのか。宇宙は加速膨張しているらしい?
 宇宙が膨張しているという話は、以前からわかっていました(ハッブルの発見)が、問題は、その膨張の仕方です。NASAが01年に打ち上げたWMAP衛星によって、03年に観測結果が確定、加速度的に膨張していることが明らかになった。
 これまで半世紀以上、大勢の天文学者たちが観測を続けていたのに、宇宙が加速膨張の時期にあることに誰も気付かなかった。わずかこの10年で、宇宙論は、それまでの知見が全く約に立たない「革命期」とでもいうべき状況を迎えた。
 「超新星の観測による宇宙の加速膨張の発見」は、2011年度のノーベル物理学賞に輝きました。(ソール・バールマターとブライアン・シュミット)
 加速膨張が何故大発見であったか?
 昔習った「物理」を思い起こしてください。「加速」するということは「力」が加わっているということです。宙の膨張を加速する「力」は、どこからくるのか?
このことから、我々のわからないエネルギーまたは物質が、宇宙には一杯ある。実際、計算してみると、既知の物質は、宇宙全体の物質またはエネルギーの4%に過ぎない、と言うことになった。
 宇宙論に革命が起きる所以です。
 話は変わりますが、物理学者は「宇宙には四つの力」が存在するといいます。重力、電磁力、弱い力、強い力です。この中で、重力だけが他の三つの力に比べて極端に弱い(素粒子一個当たりに働く重力と電磁力の強さは40桁も違う)。「なぜ、重力だけが弱いのか?」というのは、物理学と宇宙論の長年の懸案だった。
 ここで、物理学者は面白い仮説に到達しました。重力以外の三つの力は、4次元空間に存在するので、4次元空間の測定で、測定できる。ところが、重力は5次元以上の空間にも「漏れている」。だから、4次元空間の測定では、重力のすべてを測定できない。従って、重力は、他の三つの力と比べると、極端に小さい!
 では宇宙空間は何次元か?詳細は、難しくなるようで、この本でも省略していますが、結論は10~11次元だそうです。
 宇宙全体の物質(またはエネルギー)の4%しか、我々の測定で捉えられていないのは、我々の測定が4次元空間の測定であることによるのではないか?
 と言うように、話が展開されていくのです。
宇宙論」の新展開にご関心のある方には、お勧めの本です。