『昭和天皇実録の謎を解く』

(2015年3月文春新書、半藤一利、保坂正康、御厨貴磯田道史著)を読みました。
昭和天皇実録』が公開されたのは、2014年5月。宮内庁書陵部が編纂しあ禅6巻、12000ページの史料です。これだけの史料を一般人が読み通すことは困難です。そこで、昭和史の専門家が読んで、対談形式でポイントを説明してくれる本だから、これは一読に値する、と大学図書館で借りてきた次第です。内容を概観すると、
第1章 初めて明かされる幼年期の素顔(明治34〜大正元年
第2章 青年期の栄光と挫折(大正10年〜昭和16年)
欧州訪問で戦争の悲惨を知る。25歳で即位し直面したのが、関東軍の暴走、治安維持法
第3章 昭和天皇の三つの「顔」(昭和6年〜昭和11年)
陸海軍を統べる大元帥立憲君主としての天皇、大祭司という「大天皇
統帥権」の実情
第4章 世界からの孤立を止められたか(昭和12年〜昭和16年)
天皇からの視点で開戦前の日本外交を点検
第5章 開戦へと至る心理(昭和16年)

第6章 天皇終戦工作(昭和17年〜昭和20年)
皇后と一緒に赤坂離宮に皇太后を訪ねる(6月14日)。皇太后の案内で大宮御所の宇焼跡をご覧になる。「軽井沢に疎開してほしい」と疎開を願い出たが、皇太后は「何があろうと、帝都を去らない」と言下に否定する。これは厳しい批判であった。
第7章 8月15日を境にして(昭和20年〜昭和22年)
吹上御所において映画「日本の一番長い日」をご覧になる。(昭和42年12月29日)ただし感想は何もかかれていない。「天皇は下々が困るようなことは決してなされない(半藤)。
第8章 ”記憶の王“として(昭和20年〜昭和63年)
A級戦犯合祀問題