少子・高齢化問題を解決

 少子・高齢化問題を解決する名案(迷案かな?)です。

この問題を議論するとき、少子の子とは何歳以下をいい、高齢者とは何歳以上を言うのでしょうか。厚労省の統計では、0〜14歳を年少人口、65歳以上を老年人口、と定めています。しかし、この定義は40数年前、1960年のWHOの提案を受け入れたものだそうです。だから、もう50年近く前の時代の定義です。

 私が中学を卒業する頃(1952)には、大多数は中学を出て就職か家事手伝いでした。そういう時代なら15歳以上は大人とみていい。しかし、今は90%以上が高校に進み、さらにその半数以上が大学に。そして大学を出ても、なお親掛かりは珍しくない。経済的には15歳で大人とは到底いえないでしょう。

 ですから、この際25歳で大人と定義する。したがって、老人も大人になってから50年、つまり75歳以上を老人と定義すれば、今日問題とされる少子・高齢化問題は直ちに解決する。

 日ごろから、私はそう思っていました。世の中には、同じことを考える人はいるものですね。幻冬舎新書『日本人はどこまで減るか』(古田隆彦著、08年5月刊)という本に、まったく同じことが書かれていました。(この本は、人口の変動を文明論の立場で論じ、日本の人口は2086年に6665万人で底を打ち2087年から増加に転ずると予測しています。) 以下、同書からです。

【24歳までを子どもと定義し直してはどうでしょうか。もっとも一度に上げると混乱しますから、2010年から2年ごとに1歳ずつ上げていく。そうすると、・・・

2030年の24歳以下は1798万人となります。この数は2010年の14歳以下1613万人より、実に185万人も多いのです。つまり、定義年齢をちょっと上げれば、子どもの数はなおも増えていきます。】

【現在の65〜74歳は体力、気力もかなり充実し、仕事や貯金で経済力も維持しています。もはやこの年齢の人々を「老年者」とか「高齢者」とよぶのは間違いでしょう。・・

 これもまた、一度に上げるのは無理かもしれません。とすれば、2年とか3年ごとに1歳ずつ上げていけば、2030年前後の75歳以上は2266万人で、2010年の65歳以上2941万人より675万人も減ります。つまり、老人の数は減っていくのです。】

【「少子・高齢化」で「年金保険料の負担者が減って年金制度が崩壊する」というのは誤りで、年齢区分を徐々に繰り上げ、最終的には25〜74歳を被保険者、75歳以上を給付者とするように制度を変えていけば、一人の高齢者を養う被保険者の比率は、2010年の2.3人から30年の3.2人へむしろ楽になっていきます。】

 この場合、60歳から74歳までの雇用の問題があります。安易な定年延長ではダメと、野口悠紀雄さんが『「超」リタイヤ術』(新潮社、04年10月刊)で述べています。

【私がまったく信じられないと思ったのは、東京大学が定年延長を決めたことだ(それまで60歳であったのを段階的に延長して、最終的には65歳にする)。

 東京大学のような組織で定年を延長すれば、若い人材の頭を抑えることになるのは明らかだ。・・・これに対して学内からほとんど反対の声がでなかったのは、恥ずべきことだったと思う。】

 若いものを派遣に追いやらない雇用制度と、60歳以上を、企業の定年延長に頼らないでも良い雇用制度に知恵を出すことが、実は少子・高齢化問題の解決の鍵ということです。