あの戦争とは何だったか?(2)

3.陸・海軍の不仲
 【「日本は太平洋戦争において、本当はアメリカと戦っていたのではない。陸軍と海軍が戦っていた。その合間にアメリカと戦っていた。」】
【我々が理解する開戦の”歴史”は、「陸軍の暴走に日本は引き摺られていった。」という構図である。戦後の「東京裁判」がいい例であろう。A級戦犯に指定された28人の内、陸軍の軍人は15人、海軍はたったの3人、その上、絞首刑になった7人は、広田広毅を除いては、全員陸軍軍人であった。】
【東条の秘書官だった赤松はこうも言っていた。「あの戦争は、陸軍だけが悪者になっているね。しかも東条さんは悪人中の悪人という始末だ。だが、僕ら陸軍の軍人には大いに異論がある。あの戦争を始めたのは海軍さんだよ・・・」】
 「あの戦争」が、対米戦争の意味なら、確かにそうだろう。軍艦が動かなければ太平洋の向こうと戦争のしようがない!陸軍の対中戦争と張り合うつもりだったのだろうか?
4.異能の人
 昭和18年春から参謀本部に籍をおいた堀栄三という人がいた。彼から聞いた話。
【彼は「日本のマッカーサー」とあだ名されていた。なぜなら、アメリカ軍が次にどこを攻めてくるかを、ことごとく当ててしまったからである。
 どうしてそんなことができたのか。彼に言わせると、簡単なことだという。さまざまな情報を分析するとわかるというが、たとえばこんな方法を用いた。
 参謀本部の情報参謀のもとには、アメリカの放送を傍受した内容が毎日のように届いた。その中には天気予報や株式市況なども含まれており・・・毎日、それらの株式市況を眺めていたのだそうだ。すると、彼はある一つの法則を見出したのである。
 それは、アメリカ軍の新しい作戦が始まる前には、薬品会社と缶詰会社の株が急騰する(兵隊にマラリヤの薬と食料を軍が大量に購入する)。また、アメリカの放送は、今、どこの部隊が休暇中であるかを報道する。その休暇中の部隊がどの戦線に出てくるか、次の作戦展開の場になる地域を見抜いたのである。
「でも、確実だとわかっている情報でも、作戦部では見向きもしてくれませんでした。】
 異能の人というものは、組織には受け入れられないもののようです。
5.山本司令長官の戦死
 昭和18年4月18日、山本司令長官が戦死する。日本軍の暗号が米軍に解読され、飛行コースから何時何分にどこにつくかまで正確に読まれていた。
 解読内容は米太平洋艦隊司令長官ニミッツに報告された。この時、ニミッツは部下の情報参謀レイトンを呼んで、・・確認を行っている。「日本軍の司令官の中には、山本亡き後、彼以上に優れた指導者はいるのか」と。(つづく)