13階段

 米原万理さんの書評『打ちのめされるようなすごい本』で、推理小説『13階段』を激賞していたので、読んでみました。まず、彼女の推薦の弁を紹介します。
高野和明著”13階段”(講談社/講談社文庫)を寝しなに読み始めたのがまずかった。2001年度江戸川乱歩賞受賞作。1行目から謎解きとスリルの罠に絡み取られて、とにかく途中でおっぽり出せない。最終行まで緊張の糸は弛まず、最後は立て続けにどんでん返しを喰らう。オーソドックスな推理小説の造りなのだが、まるで監獄制度や死刑執行の実態に関する詳細な記録や資料を渉猟したような、死刑制度に関する学術論文を読破したような錯覚をおぼえて、本を閉じたときはドッと疲れを感じた。】
 このとおりでした。昨夜読み始めたら巻を置くあたわず、12時過ぎまで読みつづけ、おかげで今朝は8時まで寝過ごしてしまいました。
 米原さんは、一睡もできなかったそうです。
【今まで抽象的で他人事だった死刑制度について、いつのまにか、かなり真剣に考えさせられていたからだ。死刑の瞬間をこれほどの臨場感を持って体験したのは始めてである。】
 でも、この小説、一つだけ欠点があります。その点は、米原さんも指摘していました。
【なぜ犯人は証拠を焼却せずに隠したのか、合理的な理由がほしい。】

 その点に目をつむれば、米原さんの言うように【大変な傑作】です。
 機会があれば読んで頂くことを、お勧めできる小説です。