金融サミットG20の意味するもの

前日の続き。水野さんは米ドル体制の終わりに言及しています。

サブプライム問題に始まる世界金融危機は、ドルの終わりの始まりであり、G7の終わりの始まりでもあるといえるのです。

08年11月14,15日にワシントンで開かれた金融サミットG20は、まさにそれを象徴するものでした。フランスのサルコジ大統領は、G20に出席する直前、パリで「米ドルはもはや世界の機軸通貨ではない」と発言しました。また、アメリカと立場が近いはずのイギリスのブラウン首相も、サミット閉幕後の記者会見で「今回の金融サミットは新たなブレトンウッズ体制への道」と指摘し、「首脳宣言を見れば、我々が将来に向けた新たな体制を構築しようとしていることが明確だ」と述べました。

肝心なのは各国間でドルの安定を合意しなければ実効性に乏しいということです。

しかし、この点については、今回の会合では何ら合意のないままでした。・・・G20の国がドルを支える価値がないと判断したから、首脳宣言に書き込まれなかったのではと推測されます。

 また今回、G7諸国が、世界経済を牽引するための積極的な財政支出をすることができないことが明らかになったのに対して、中国は2010年までの2年間に4兆元(57兆円)の景気対策を実施することを表明しました。1年で2兆元ですから、中国の名目GDP(07年24兆7千億元)の8%に相当します。それに対して日本やアメリカの景気対策はGDPの1%程度がせいぜいです。

 後世、今回のG20が歴史に名を残すとすれば、「G7体制とドル体制の終わり」を決定づけたという点になるでしょう。』

関岡英之氏も、この金融サミットについて、こう語っています。(VOICE新年号)

 『いわゆる金融サミットは世界史的な転換点として歴史にきざまれるだろう。

G20は、国家の理念が激突しあう鮮烈な思想闘争の場だったのだ。その争点はこのまま市場の暴力を自由放任しつづけるのか、それとも政府による介入という決断を下すのか、つまり過去30年近く世界を震撼させてきた米英の市場原理主義新自由主義)というイデオロギーの是非を問うものでなければならなかった。

(中略)

 金融サミットではEU・新興国の主張が事実上ほぼ全面的に反映された首脳宣言と行動計画が採択されることになった。

 明らかに、現代史は新しい段階に入った。それを端的に象徴していたのが金融サミットに参加した首脳たちの集合写真である。真ん中に立ったブッシュ大統領の両脇を固めたのは、・・・中国の胡錦涛主席とブラジルのルーラ大統領であった。 (もう一つ指摘したいのは、サウジアラビヤのアブドラ国王とトルコのエルドアン首相の加わっていることの重要性だ。)

 ついに世界は猫の首に鈴を付けることができた。』

再び、水野氏の主張。今後の世界経済の動きについて

 『リーマンショック以降の大きな流れは、その資産を金融市場で増やすのではなくて、新興国の実物資産で増やしていくというものです。』

今後は、金融投資でなく、新興国への実物投資を増やす方向が望ましい、と言うのですが、これについては、もう少し勉強してから私の意見を述べたいと思います。