『「骨ストレッチ」ランニング』松村卓著、

講談社α新書2014年5月刊)を読みました。著者は1968年兵庫県出身。スポーツケア生体研究所代表、中京大学体育学部卒。以下は同書から興味を読んだ箇所です。
野口みずき選手と高橋尚子選手、あえて対比するなら「筋肉を極限までに使ったパワフルな走り」と「骨を上手に使った効率的な走りです。どちらもっ金メダルをとった究極の走りですが、私が勧めたいのは高橋選手の方。ケガをせず速く心地よく走りたい人は「全盛期のQちゃんの走り」からエッセンスを学ぶといい。
 肘から先を左右に振るようにして走っていたQちゃんの走りは、意識して腕を振っていたというより体幹が先に動くことで、結果として腕が振られていた。筆者の推奨する走りは、「体の重さを利用し
「ひざ下よも体幹を前に出して走る」、「体幹さえつかえていれば腕は自然に動くだけでいい」(腕は降るものではなく降られるもの。体幹部で作られた力を末端部である腕に伝えることで腕は自然に動く)
「直観でわかる」ことを英語で「I feel iti my bones」という。骨を使いこなすと、感じたままに動くことが出来るというのです。骨と直感を結びつけてきた英語嫌の人びとも、筋肉の働きを重視するあまりいつしか骨の重要性を見失ってしまった。
 筆者は現役時代短距離走の選手だったが、筋力をアップすればその分パワーがアップすると考えて筋トレに励んだ。しかし、題字なのは、筋肉の量ではなく筋肉の使い方(=筋出力)だと力説する。
筆者がかいていることを、私なりに解釈すると、
走るという動作は、身体を前に倒して、倒せば転ぶが転ぶ前に足を送って体勢を戻し、さらに体を前に倒すという動作の繰り返しである。この前に倒すということは、重力を活用することを意味する。重力を活用するとは、骨をうまく動かすことだ。だから、筋トレより骨トレが大事で、本書の書名「骨ストレッチ」ランニング」の意味です。
 昔の「体」と言う字は「骨」の横に「豊」と書きました。
「アスリートがミスをすると、コーチは大抵叫ぶ。「よく考えろ。4皮肉なことにプロのアスリートの目標は考えないことだ。目指すべきは、熱戦中に適切な作戦行動を意識のかんしょうなしに自動的に繰り出せるよう何千時間も訓練を行う」(『意識は傍観者である。脳の知られざる営み』、デビッド・イーグルマン著/早川書房
 筆者は武術研究科の甲野善紀先生に出会うことで、この理論mを磨き上げた。筆者からみると、甲野先生は骨の使い手、達人だという。