ウェブ進化論

 私が勤務先を退職してから間もなく10年になる。この間、「失われた10年」という言葉も使われたことがあるが、実際は猛烈な変化のあった時代であったと思う。
例えば、今こうして叩いているEメールという代物、私が現役の頃は、会社の中で使っていたのは、一部のITオタクともいうべき(そう言うのは失礼だが)少数の人たちだけだった。それが、こんなに日常的に普及したのは、この10年なのである。
 それで、思い出したが、つい先日の(今も進行中だが)民主党議員が引っかかった偽メール事件。聞くところでは、送信者と受信者のメールアドレスが同一だったそうだ。名前が消してあったとしても、送信と受信のアドレスが一緒だったら、「?」と思うのが普通である。思わなかったとすれば、普段Eメールを扱ったことのない人だろう。
 この時節がら、国会議員がメールを扱わないことはない筈だから、普段、送信は秘書にキイを叩かせ、受信は秘書からコピーを受け取り、自分でPCにさわったことがないのではないか?と疑う。
 当の議員だけでなく、幹事長も代表も国会対策委員長と言う大幹部もそうだったことになる。まさか?とも思うが、案外、大政治家と言うものは、有力者との折衝が毎日忙しくて、時代の動きを勉強している時間などないのかも知れない。
 この事件を評した大政治家は「今の時代は、若い者が出てくるのを良しとし、老人は引っ込めという風潮だが、経験を積んだ政治家がいないとこう言うことになる」と
語っていたが、若い者もお年よりも中身は一緒で、ただお年よりは、自分達が不勉強だと言うことを、簡単に人に悟らせない。ボロを出さないというに過ぎないのでは?

 今、読みかけの本(ウェブ進化論梅田望夫著)にこんな一節がありました。
 【グーグルは「増殖する地球上の膨大な情報をすべて整理しつくす」という理念を打ち立て1998年に創業されたベンチャーで、2004年夏に株式公開を果たし、2005年10月にその時価総額は10兆円を超えた。・・・類例のないスピードで成長しており、今や世界中の才能がグーグル入社の希望の列を作っているという「化け物」会社になってしまった。】

 余談ですが、ライブドア事件から、「時価総額」という言葉を嫌う方も見えるかも知れませんが、企業理念、検索技術を中心においた企業理念があるという点で、グーグルとライブドアの違いがありました。
ライブドアもブログの提供では大手で、良い事業の種を掴んでいたのに残念です)

 このグーグルの誕生も成長もこの10年内の出来事でした。
 世の中が猛烈な勢いで変化している。変化の時代はチャンスの時代である。残念なことは、日本の政界のリーダーが、この変化の行き先を見通す力を持っていると思えないことです。

 本を読みながらそう思った時、偽メール事件を思い起こし、拙文を叩いた次第です。