グーグルマップスとはてなマップ

この本「ウェブ進化論」(ちくま新書)の著者、梅田望夫氏についてふれて見ます。
 1960年生まれ、慶応大工学部卒。東大大学院情報科学修士
94年からシリコンバレイ在住。2000年、岡本行夫氏らとベンチャーキャピタル、パシフィカファンド設立。05年3月から(株)はてな取締役。著書「シリコンバレイは私をどう変えたか」(01年新潮社)というのが履歴です。
 「(株)はてな」は、ブログ・サービスを提供する会社で、小生も今年から、読書
のブログ(snozueの読書日記)を、「はてな」で公開しています。
http://d.hatena.ne.jp/snozue/

(「はてな」はまだ創業から4年、20代ばかりの社員9名(梅田取締役就任時)の会社ですが、凄いと思うのはブログの使い方についてメールで問い合わせると親切に回答してくれる。そんなこと当り前といわないでください。たった9人で不特定多数の質問に無料で答えることが如何にたいへんか)

 「はてな」について、この本の中で、こんな記述がありました。
【05年6月29日、Gooは地図検索サービス「グーグル・マップス」のAPI(開発者向けにプログラムし易いデータ;Application Program Interface)を公開した。
1週間後の7月6日・・・「はてな」のオフィスで、ときおり歓声が上がるので、話を聞いてみると、「グーグル・マップス」のAPIを利用して「はてなマップ」というサービスを開発中で、まもなくできあがるといって興奮していたのである。

はてなマップ」とは、たくさんの人たちが、それぞれ撮影した写真や書いた文章を、関連する地図上に自由に添付できるサービスだ。・・・
 私はその夜、コンピュータ業界の長老と食事をする約束をしていた。・・・挨拶代わりに「はてなマップ」を彼に見せながら、私は近況を報告した。彼は・・私にいくつかの質問をなげかけたあと、がっくり肩を落とした。ネットの「あちら側」のAPIが公開されることの脅威を、彼は瞬時に認識したのである。
 その翌日私は、あるメーカーで米国最新動向についてトップに向けて話した。
はてなマップ」を見せたりしながらGooの話などもした。質問は「はてなマップ」の開発費は?」
 「エンジニアが一人はりついて実質5日でできたものですから・・・せいぜい数十万円
でしょうか」
 質問したトップは「冗談だろう。数億円。いやもっとかかる・・」
 システム部門長が「いや、これはおもちゃですから」・・・・
 「いや、これはおもちゃですから」というのは、どこかで聞いた言葉だなぁ、と私は思った。80年代にPCが世の中に登場したときも、大企業のシステム部門の人たちはこの言葉を繰り返し、一世代前の技術への莫大な投資を正当化していた。
 偽メールだ、粉飾決算だと騒いでいるうちにも、世の中どんどん変わっているんだと、分からせてくれる本でした。

追伸:この本の帯で、将棋の羽生善治さんが推薦文を書いています。
『これは物語ではなく現在進行中の現実である。グーグルとネット社会の未来について、希望と不安が見えてくる』