100% 仮説

 最近、ベストセラーになっている『99.9%は仮説』(竹内薫著、光文社新書)という本を買い込んで、13日朝7時前の新幹線に乗り込みました。放送大学広島研修センター(旧広大)の面接授業に出席するためです。授業のテーマは「日本経済を考える」。
 このところ、TVや新聞・雑誌で経済学者と言われる方々の論調を聞く度に、経済学って、「100%仮説じゃなかろうか?」と思うようになりました。そこで、講義の前に、この本を読んで見たかったのです。
 乗車してすぐ読み始め、広島駅に着くまでの2時間40分で読み終わりました。
 「自然科学の法則や定説は、すべて最初は仮説で、実験でその仮説が成立することが確認された後、定説になる」と私は思っていましたが、この本で『科学とは常に反証できるものだ』という科学の定義(カール・ポパー)を知りました。
 つまり、仮説を実験で確認する際、実験は当然有限回です。その有限回の実験で仮説が正しいとされたら、当分、仮説は定説として認められる。しかし、百万回実験して正しくても百万一回目に、その説が正しくない事例が見つかったら、その説は定説の地位を失う。即ち、一つの間違っているという事例(反証)が定理の誤りの証拠になるのが、科学であるというのです。

 定刻(9:34)に広島駅に着き「そうだ、弁当を仕入れて行こう。たいしたレストランは構内になさそうだと、駅弁を買う(何はなくとも食糧の手配だけは忘れません)。
タクシーの運ちゃんに「放送大学!」と言うと「あぁ元広大の・・」と、すぐ了解してくれました。開講の10時直前、ジャストインタイムで講義室に滑り込み。
 講師は広大教授のT先生、専攻は「労働経済」だそうですが、今回の講義は「戦後の日本経済の景気変動を振り返り、日本経済の今後を考えたい」という趣旨だと言う。
 早速、手を挙げて「その、景気とは何でしょうか?定義を教えて下さい」と質問。
「これからの講義の中で説明します」とかわされた。
 戦後の景気変動の山は、終戦直後(信頼すべき統計が存在しない)を除くと13回あり、現在の小泉内閣での景気上昇をカウントすると、14回目になる。ならば14回といえばよいのだが、「景気の山は数ヶ月後にならないと分からない」ので、一応、小泉内閣以前までの13回を説明する」と言う。そこで、諒解したのだが、先生の言う景気は経済統計に出た景気(内閣府、かつては経済企画庁が公表している景気動向指数(29の先行・一致・遅行の景気指標から合成)を意味しているようだ。
 しかし、景気動向指数は、景気の観測方法の一つであって、景気そのものの説明ではないのでは?
 授業は進んでいきます。(続く)