外国映画の主題歌になったナツメロ
賛美歌312番と唱歌「冬の星座」の関係を追及しているうちに、久世光彦さんの「マイラストソング」に嵌ってしまい、ついに1〜5巻の全部を一気に読み終わりました。
いや、面白かった。これだけ歌謡について語りうる人が居たんですね。14年も連載したのですから100曲以上語っています。
面白い曲の話を受け売りしていると切りがありませんが、最後に一曲だけ、日本の演歌が外国映画の主題歌として、しかも日本語で歌われたという話だけ紹介しましょう。「幌馬車の唄」(昭和7年発売、山田としを詞、池田不二男曲)です。
夕べに遠く 木の葉散る
並木の道を はろばろと
君が幌馬車 見送りし
去年(こぞ)の別れが とこしえよ
『台湾の侯孝賢監督の「非情城市」という映画を観ていて驚いた。あの「幌馬車の唄」が劇中で歌われているのである。しかも日本語で・・・
1947年の台湾のいわゆる<2.28事件>、つまり長年の日本の支配から解放された直後の、・・・大陸から来た外省人と本省人との対立をきっかけに起こった反政府運動に参加した若者たちが、戒厳令下、簡易裁判で次々に処刑されるシーンで、引き出されて刑場に向かう同志の背に、明日はおなじ運命の獄中の若者たちがこの歌を斉唱するのである。長い長い別れの歌だった。長い長い「幌馬車の唄」だった。侯孝賢は言っている。《いまの日本の人たちは、どうしてこんないい日本の歌を知らないのでしょう。台湾では、いまでも子供だって歌っています》。』
http://www.geocities.jp/abm168/OMOIDE/horobasya.html