完全数

 江夏の背番号28は完全数であることを小説にした『博士の愛した数式』という小川洋子さんの作品がありました。
 この小説は、まだ読んでいないのですが、本屋で『フェルマーの最終定理』(新潮文庫)を見つけて衝動買いし、読み始めたら、最初にこの完全数の話が出てきました。(完全数とは、約数の和がその数自身と同じになる数 6,28、・・・など)

 それがとても面白いのです。要点だけ抜書きしますと・・

自然数が大きくなるにつれて、完全数を探すのは難しくなる。実際、3番目の完全数は496、4番目は8128、5番目は8589869056である。・・・

この完全数には面白い性質があります。

 完全数はつねに連続した自然数の和としてあらわすことができる。

6=1+2+3

28=1+2+3+4+5+6+7

496=1+2+3+・・・30+31

  =31*32/2

8128=1+2+3+・・・126+127

  =127*128/2

更に

完全数は、2のn乗と、2の(n+1)乗から1を引いた数との積です。

べき乗を^で表しますと。

6=2^1×(2^2―1)

28=2^2×(2^3―1)

496=2^4×(2^5−1)

8128=2^6×(2^7−1)

(コンピュータ計算によると13万桁を超える完全数がこの規則に従う。・・・05年には1830万4103桁の完全数が発見された。)

皆さんはご存知でしたか?もしかしたら、知らなかったのは私だけ?

ついでながら、フェルマーの最終定理とは、彼の本の余白に記入された次のメモです。

<ある3乗数を二つの3乗数の和で表すこと、あるいはある4乗数を二つの4乗数の和で表すこと、および一般に、2乗より大きいべきの数を同じべきの二つの数の和で表すことは不可能である。>(X^n+Y^n=Z^nが成立する自然数X,Y,Zが存在するのはn=2の場合のみ。)というものですが、彼のメモに次の追伸があったのです。

<私はこの命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない。>

 この追記が、3世紀に渡って、世界の数学者を悩ませることになったのだそうです。
私の追伸
 サイモン・シン著、青木薫訳です。あとがきによると、平成12年1月に単行本として出版され(原著は97年刊行)、平成18年6月に文庫になりました。著者のサイモン・シンは1967年生まれ、英国TV局BBCに転職。TVドキュメンタリー『フェルマーの最終定理』で国内外の賞を受賞し、同番組をもとに第1作である同名書を書き下ろす。(第2作『暗号解読』、第3作『ビッグバン宇宙論』も世界的ベストセラーになったそうです。)