自分を守る経済学

 エコノミスト徳川様の著書は、「なぜ日本経済が21世紀をリードするのか」を先般紹介しました。
http://blog.goo.ne.jp/snozue/d/20120730
「バブルの興亡」という本も以前紹介したことがあります。先日、「自分を守る経済学」(ちくま新書、2010年12月)を、図書館で見つけて読んでみました。
 本の特徴は3あります。
 一つは、経済学という学問の説明を、巧みな補助線を引いて説明していること。
例えば「囚人の理論」を使って「国家の不況対策」を論じています。
第二は、このままでは日本はインフレに見舞われるから、個人的な防御策(書名の由縁)として、「財政破綻前に、できるだけ資産を増やして、財政破綻後の投資収入を大きくする」。そのための消費生活(テレビは見ない、車は乗らないなど)。投資方針については、12年末までは金融資産を現金化し、銀行預金を増やす。その後、大暴落があるからそれを待って株を買う。等々
この点の徳川様の説が正しいか否かは別として、こういう発想は我々に必要かもしれません。というのは、いくら経済学を勉強して、国家の経済政策はかくあるべしと論じてみたところだ、私たちが国の経済政策を決められるわけではない。国の政策は、現在の国のリーダーが、彼らの哲学(それが正しいか否かは別問題)で決定していくので、彼らはどんな政策を取り続け、その結果、日本経済はどうなり、国民はどんな目にあうか。その被害から少しでも逃れるため、私たちはどう行動すべきか、考究すべきです。
 第三は、最終章に「自分を守る読書案内」と題する章を設け、各章ごとの参考文献を紹介しています。いわば、「自分を守る経済学」を知るための徳川様推薦の経済書リストです。
 小野善康「不況のメカニズム」(中公新書2007年)
 「クルーグマン教授の経済入門」(ちくま学芸文庫2009年)
 「貨幣進化論」(岩村満著、新潮選書2010年)
「日本文明・世界最強の秘密」増田悦佐著、PHP研究所)など・・