楽園のカンヴァス

『楽園のカンヴァス』(原田マハ著、新潮社、12年1月初版、7月7版)という小説を読みました。2012年、第25回山本周五郎賞受賞、第147回直木賞候補の作品です。
 実は、この本、雑誌の書評欄で見て、面白そうだと、市の図書館に借りに行ったら、「予約が37名あります」と言われた。去年の10月ごろです。「すぐ読まねばならない本ではない」と、とりあえず予約していたのが、今年の3月になって「貸出できます」と電話があった。
著者は美術研究者らしい。インターネットで見ると、1962年、東京都小平市生まれ。関西学院大学文学部日本文学科および早稲田大学第二文学部美術史科卒業。マリムラ美術館、伊藤忠商事、森ビル森美術館設立準備室にそれぞれ勤める。森ビル在籍時、ニューヨーク近代美術館に派遣され同館にて勤務。その後フリーのキュレーター、カルチャーライターに。『楽園のカンヴァス』は著者の本領とも言うべき美術の分野に初めて真っ向から挑んだ長編小説。
あらすじは、これもインターネットの解説によれば、『ニューヨーク近代美術館(MoMA)の学芸員ティム・ブラウンは、スイスの大邸宅でありえない絵を目にしていた。ルソーの名作『夢』とほとんど同じ構図、同じタッチ。持ち主の富豪は真贋を正しく判定した者に作品を譲ると告げる。好敵手(ライバル)は日本人研究者、早川織絵(なぜか大原美術館の監視人のアルバイトをしていた)。リミットは七日間――。カンヴァスに塗り籠められた真実に迫る渾身の長編!』
ということで、「カンヴァスに塗り籠められた真実」とは、この絵(アンリ・ルソーの「夢を見た」)の下には、ピカソの「青の時代」の作品がある、つまり、ピカソの作品に上書きした絵ではないか?という推理です。
 最近、小説はあまり読んでいないのですが、久しぶりに小説の醍醐味を楽しむことができました。
アンリ・ルソー(1844〜1910)という画家については、よく知らないのですが、生前は不遇でしたが、ピカソに評価されピカソの画風に影響を与えた画家のようです。