日本を滅ぼす消費税増税

『日本を滅ぼす消費税増税』(菊池英博著、2012年11月刊、講談社現代新書)を読みました。書名からすると、税制の本?と思いますが、日本の経済史として、ハンデイで図表も多く、好著です。 著者の菊池英博さんは、1936年生まれ、「エコノミストは役に…

生きるための経済学

「東大話法」の著者、安富さんは面白い論者だ。他にどんな本を著しているのかと、図書館で検索し『生きるための経済学』(安富歩著、NHK出版08年3月刊)を見つけました。 後書にこんな文が・・・【私が経済学に最初に疑問を抱いたのは、おそらく、中学生…

経済学に何が出来るか

『経済学に何が出来るか』(猪木武徳著、2012年10月刊、中公新書)を読みました。 以下、印象に残った記述です。 マネーサプライは統御できない? 「マネーの定義の難しさ」という一節が面白い。 『「マネーサプライ」というマクロ経済の集計量は、通貨の…

梅棹忠夫

『梅棹忠夫』(山本紀夫著、中公新書2012年11月刊)を図書館で見つけて読んでみました。梅棹さんは、ものの考え方という点で、私が大きな影響を受けた人です。 梅棹さんを知るきっかけ 梅棹さんは、昭和32年、雑誌中央公論2月号に「文明の生態史観序説…

2012今年の10冊

印象に残った「今年の10冊」を下記します(順不同)。 ●原発のコスト 大島堅一著、岩波新書です。 原子力がなくても、日本は、電気供給になんの問題なく対応することは可能。ただ、九電力地域独占体制を改めることと、新しいエネルギー開発に努力すれば良…

日本の転機

ロナルド・ドーアさんが新刊を出した。『日本の転機――米中のハザマでどう生き残るか』(ちくま新書、12年11月刊)です。 ドーアさんの著書については、1年ほど前に紹介しています。 http://d.hatena.ne.jp/snozue/20111120 この本を著してから一年。原…

科学の限界

『科学の限界』(池内了著、ちくま新書2012年11月刊)を読んでいたら、面白い話がありました。3分の1の法則及び40分の1の法則です。 【人類の大祖先である猿人がチンパンジーと分かれたのは約600万年前。(その3分の1)約200万年前、原人は道…

定数是正の妙案

衆院の定数是正は、とりあえず0増5減の法案が成立したが、区割りが出来ていないので、今回の選挙は違憲状態で行われることになる。人口は変動するから、次回の選挙が0増5減で行われたとしても、違憲状態がなくなっているかどうかは分らない。 そこで、い…

領土問題の不愉快な真実

「領土問題の不愉快な真実」を述べた本でした。『領土問題をどう解決するか』(和田春樹著、平凡社新書、2012年10月刊)です。 「固有の領土」について。 野田首相は、韓国大統領の竹島上陸に「竹島は“我が国固有の領土“であり、大統領の行為は受け入れら…

ケインズはこう言った

『ケインズはこう言った』(高橋伸彰著、NHK新書、2012年8月刊)を読みました。著者は1953年生まれ、立命館大学教授。 ケインズならば、迷走日本を見てどのような処方箋、解決策を提言するだろうか。 著者は、「現在の喫緊の課題は、デフレ脱却でも…

脳は美をどう感じるか

『脳は美をどう感じるか』(川畑秀明緒、ちくま新書、12年10月刊)を読みました。 前書き(はじめに)には『脳科学の歴史は浅いが、具体的な実験的研究による知見の蓄積は急速でめざましいものがある。・・・人はなぜ、どのように美に魅せられるのか。こ…

定年後の勉強法

『定年後の勉強法』(和田秀樹著、ちくま新書、2012年9月刊)という本を読みました。 著者は、1960年生まれ、精神科医ですが、「大人のための勉強法」などの著書があり、受験アドバイザーとして知られているから、才人なのだろう。 読了して思った…

本当の経済の話をしよう

『本当の経済の話をしよう』(ちくま新書、12年8月刊)を読みました。若田部昌澄早大教授が評論家の栗原裕一郎氏の質問に答えるという形式で、現下の経済問題を解説する本です。 面白いと思ったのは、「インセンテイブ」、「トレード・オフ」、「トレード…

数学による思考のレッスン

『数学による思考のレッスン』(栗田哲也著、ちくま新書2012年8月)を読みました。 著者の経歴がユニークである。【1961年生まれ、東大文学部中退、数学関連の予備校、塾、出版社に在役。93年より数学オリンピックを目指す学生のための駿台英才セミナー…

夢の原子力

『夢の原子力』(吉見俊也著、12年8月ちくま新書)を読みました。 まず、序章から著者の主張を読み取ります。 【大阪万博には、日本原子力発電が万博開催にあわせて運転を始めた敦賀原発一号炉からの送電がなされた。ちなみにこの一号炉を製造したのはG…

植物は凄い

『植物はすごい』(田中修著、中公新書、12年7月刊)を読みました。 冒頭、植物の凄さを、こう説明しています。 【キャベツのタネの重さは、一粒が約5mgです。この一粒のタネが栽培されると、発芽して、芽生えが成長し、約4ヶ月後には、市販される大…

原発危機 官邸からの証言

『原発危機 官邸からの証言』(福山哲郎著、ちくま新書、12年8月刊)を読みました。 筆者は、民主党参議院議員、菅内閣で官房副長官として震災対応に当たった。その震災対応の経緯を語った書です。 以下、印象に残った箇所です。 3月14~15日、フクシ…

「脱原発」成長論

『「脱原発」成長論』(金子勝著、2011年8月刊、ちくま書房) この本のポイント2箇所を以下に引用します。 【たとえ低線量であっても、内部被爆は長く深刻な影響を残す。チェリノブイリ原発事故後、現地に入った医師たちによって、ヨウ素131は小児甲状…

マルセル

高樹のぶ子は恋愛小説の名手だと思っていましたが、ミステリーをものしたと聞き、図書館から借りてきました。「マルセル」(毎日新聞社、2012年3月刊)です。以下、その紹介。昨年の元旦から大晦日まで毎日新聞に連載された小説。(ですから、3.11…

植物からの警告

植物学者の湯浅浩史さんが、面白い本を出したと聞き、大学図書館で借りてきました。 『植物からの警告』(湯浅浩史著、ちくま新書12年7月刊)です。 著者は、1940年生まれ。書名の意味は、 【動物と違い植物は動くことができません。動物よりも、環境…

自分を守る経済学

エコノミスト徳川様の著書は、「なぜ日本経済が21世紀をリードするのか」を先般紹介しました。 http://blog.goo.ne.jp/snozue/d/20120730 「バブルの興亡」という本も以前紹介したことがあります。先日、「自分を守る経済学」(ちくま新書、2010年12…

外尾悦郎、ガウデイに挑む

「外尾悦郎、ガウデイに挑む」(星野真澄著、NHK新書、12年5月刊)という本を大学図書館で見つけました。手にとってみると、「サグラダ・ファミリア贖罪教会」の写真が巻頭にある。著者は、NHKの番組デイレクターで「クローズアップ現代」などを担当。「…

通貨を考える

『通貨を考える』(中北徹著、ちくま新書、12年6月刊)を読みました。 読もうと思ったのは、三つのことを知りたかったからです。 ユーロ危機の問題から通貨の統一がもたらす国民経済への影響、次に元と円の直接交換の意味についてです。最後に、ハイエク…

ざっくりわかる宇宙論

「ざっくりわかる宇宙論」(竹内薫著、ちくま新書、12年3月刊)という本を読みました。 図書館の棚に見つけてパラパラとめくってみたら“現在の「宇宙論」の大転回は、1998年ごろに起きた一連の新発見に由来します。“という文章が目に入りました。 「…

TPP亡国論

『TPP亡国論』(中野剛史著、11年3月集英社新書)を読みました。この本の出た時、書評で、出たことを知っていましたが、「タイトルがあまりに通俗的だ」と読む気になれなかった。それが「レジーム・チェンジ」、「グローバル恐慌の真相」の2冊を読んで、…

ちあきなおみに会いたい 

今回は、難しい本でなく、ただ書かれた文章をたどるだけで楽しめる本の紹介です。 「ちあきなおみに会いたい」(徳間文庫、12年5月、石田伸也著)をよみました。 彼女の生い立ち、歌手としての歩みを歌の解説と交えて述べた本です。 歌の本ですから、YO…

福島原発の真実 

佐藤栄佐久氏の本2冊を読みました。 「福島原発の真実」(平凡社新書、11年6月刊)と「知事抹殺」(平凡社、09年9月刊)です。佐藤氏の経歴は、1939年福島県郡山市の生まれ。83年参議院議員、大蔵政務次官を経て88年福島県知事。第5期、06…

グローバル恐慌の真相

株がバブル後の安値をつけたと報道されています。米国の失業率が悪化、ギリシャ、スペインの金融不安のためらしい。世界同時不況はありうるだろうか。 グローバル不況はやってくるのでしょうか。 「グローバル恐慌の真相」という本を読みました。 若い気鋭の…

レジーム・チェンジ

『レジーム・チェンジ』(NHK新書、12.03・30刊行)という本を読みました。筆者は、中野剛志・京都大大学院工学研究科准教授、経産省課長を経て現職です。 この本は、デフレと新自由主義とEU問題について、面白い仮説を提起しています。 筆者の提示する…

生物多様性について考える

週刊朝日に「池田教授の机上お砲弾」という連載を寄稿している池田清彦さんが、「生物多様性について考える」(中公選書)を刊行したと聞き、取り寄せました。 「生物多様性」って言葉、よく聞くんだけどどういう意味?と問われると答えるのが難しい。改めて…